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【ツール・ド・フランス2021 ルートプレゼンテーション】40年ぶりの快挙か、それとも...。ロマン・バルデ「「子供の頃に見ていたツールを思い出させる伝統的なコース」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか2020年のマイヨ・ジョーヌ タデイ・ポガチャル
真っ先に入るアルプスは、まずは8日目の下りフィニッシュから。ラスト50kmに3つの峠が連続で登場し、うち20kmが勾配8.5%超の上り坂。興味深いことに、最終盤35kmは、2018年第10区間でアラフィリップが区間初勝利を飾った時とまったく同じコースに仕上がった。
続く第9ステージで今大会初の山頂フィニッシュを争う。145kmという短距離に5つの山が詰め込まれ、行きつく先は標高2113mのティーニュ。2019年に雹が降り、レースが中断され、アラフィリップが黄色を失った……あの日たどり着けなかったフィニッシュ地へ、改めてプロトンは向かう。
2週目には4年ぶりにモン・ヴァントゥへと対峙する。しかも「プロヴァンスの巨人」に、大会史上初めて2回よじ登る!
1回目と2回目では異なる山道を通って1910mの山頂を目指す。ただ2回目を上りきっても、残念ながら、禿山のてっぺんで戦いは終わらない。実は2021年秋まで、山頂は環境保全のための工事中。おかげで1994年大会以来となる、モン・ヴァントゥからの22kmのダウンヒルフィニッシュが実現する。
アルプスが少々軽めの代わりに、ピレネーはたっぷりと。第14ステージから実に5日間も、山巡りを行う。難関ステージはうち3つ。まずは第15ステージでピレネーの小国アンドラ、すなわちアラフィリップが暮らす国へと突入する。大会の「屋根」標高2408mのエンヴァリラ峠へとよじ上るが、締めくくりは大会3度目のダウンヒルフィニッシュ。
残す2回の山頂フィニッシュは、大会3週目に、2日連続で襲いかかる。7月14日「革命記念日」の第17ステージは、ラスト60kmに難峠が3つ詰め込まれた。勝負を決めるのは2018年大会で初めて使用されたポルテ峠。全長16km、平均勾配8.7%の険しい山道だ。
そして総合勢にとって大会最後の「直接対決」の機会となる第18ステージ。伝統のトゥールマレーを上り、最後はリュズ・アルディデン(13.3km、7.4%)へとたどり着く。
2019年大会のトゥールマレーでティボー・ピノが勝ち、アラフィリップが区間2位で黄色を見事に守ったことは、記憶に新しい。しかし「スタッド2」でのプリュドム委員長は、フランスファンたちの古く美しい記憶を呼び起こす。それは、2011年、リュズ・アルディデン山頂で、トマ・ヴォクレールが「自己の限界を越えて」マイヨ・ジョーヌを守り切ったこと!
口には出さなかったが、委員長の言いたいことは伝わってくる。想像して欲しい、アラフィリップがピレネーの終わりまで、マイヨ・ジョーヌを守り抜くことを……。そのためのコースは出来た。シナリオを書くのはもちろん、主役である選手たちだ。
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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