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サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかいつまでも終わらぬ起伏と、向かい風。加えてステージも残り40kmを切ると、雨脚はどんどん強まっていく。ドゥクーニンク・クイックステップのエーススプリンター、サム・ベネットは耐えきれずメイン集団から千切れていく(最終的に最下位145位で終了)。
最大の宿敵が消えたからこそ、ボーラはますます熱心に前を引いた。ベネットの同僚カッタネオにとってもまた、状況は変わった。もはや後方のエースに気を使う必要はなくなったのか。それともボーラをさらに働かせる必要が生じたのか。残り31km、逃げ仲間の小さな攻防を利用して、たったひとりで前へと飛び出した。
「向かい風のせいで1日中すごく厳しいステージだったけど、僕自身は調子が良かった。だから上りでアタックした。タイム差が2分に広がった時には、チャンスを信じ始めたよ」(カッタネオ)
つまりはドゥクーニンク・クイックステップに記念すべきグランツール100勝目をもたらすべく、なにより自身初のグランツール区間勝利に向かって、カッタネオは全力で抵抗し続けた。最終登坂でアッカーマンが苦戦すると、ボーラは一旦仕事を打ち切り、なんとなく総合首位を擁するチームとしてユンボ・ヴィスマが集団前を引きはじめると、たしかにタイム差は2分にまで広がった。
スロースペースに乗じてジーノ・マーダーが、残り22kmで集団から飛び出して、孤独な追走を始めたこともある。素早く逃げの残党に追いつき、追い越すと、カッタネオまで50秒差に迫った。
しかし最後の山頂を越えると、ボーラもアッカーマンも息を吹き返す。再びメイン集団の最前列へ競り上がると、4人で猛烈に牽引を開始した。いつしかロット・スーダルやミッチェルトン、UAEも集団前方へと位置取りを始めた。序盤からの逃げも、マーダーも、順々に回収されていく。そして残り3.4km、ついにカッタネオの努力も無に帰した。
「道と天候条件が僕に不利に働いて、吸収されてしまった。がっかりしてる。でも同時に、大会が終わるまで挑戦し続けようと、改めて決意している」(カッタネオ)
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