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サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかところがステージもちょうど残り100kmを切るころだ。3級峠の全長17kmの長い上りへと差し掛かると、強風が吹き抜ける山道で、ピンクのジャージが黄色い隊列を押しのけた。EFエデュケーションファーストが集団牽引に動き出し、最大4分半開いたタイム差をじわじわと縮めていく。さらに山頂が近づくにつれアスタナも最前線へと競り上がる。山の向こうの遮るもののなにひとつない高原の一本道では、グルパマ・FDJも隊列を組んだ。そのうちにモヴィスターも全員を前方へと配置。おかげでプロトン全体の緊迫感は否応なしに高まっていく。
クライマックスは残り57kmでやってきた。直角カーブを右に折れると、プロトンは西へ進路を取る。するとこれまでの強い向かい風から、強い横風へと変わる!……はずだった。
ところが方向転換の直後に、逃げる5人を猛スピードで吸収したプロトンは、ほんの短い競り合いだけで脚を緩めてしまう。恐れていたほどには風は強くなかった。しかも区間前半のようなむき出しの荒野ではなく、沿道には森が広がっている。分断のチャンスも危険もおそらくない。だから異変を察知した数選手が前方へと飛び出すと、あっさりプロトン最前線は横一列に並んだ。いわゆる「蓋」を閉めてしまった。
かといってプロトンにはそれほどのんびりしている時間もなかった。なにしろ道の果てには山頂フィニッシュが待っている。総合を争う者たちに失敗は絶対に許されないのだ。この日2つ目の逃げ集団背後では、またしてもEFが、早々にユンボから制御権をむしり取った。ポール・ウルスラン、アンヘル・マドラソ、ヴァランタン・フェロン、エクトル・サエスの4人には、最大1分半しか余裕を与えなかった。残り30kmを切るとやはりイスラエルも先頭へ上がる。しばらくすると当然のようにアスタナとモヴィスターも仕事を始め、今度は新たにイネオスも加わった。8.5kmの山道に入るとほぼ同時に、2つ目の逃げ集団もあっけなく飲み込んだ。
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