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【宮本あさかのツール2020 レースレポート】季節外れの「夏休みの風物詩」は、幸せな大団円を迎えた。しかし、特別な2020シーズンは、たくさんのレースを残してぼくらを魅了する! / 第21ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか嬉し涙がこぼれた第10ステージの初勝利以降、自らのスプリントチャンスをふいにしてまでも、連日こつこつポイント集収に専念した。ライバルたちはフラストレーションが溜まっただろうなぁ..と語りつつ、おそらく自分だってフラストレーションが溜まったに違いないのだ。だが、もはや、翌日のことを考える必要はない。ようやく100%のポテンシャルを、フィニッシュめがけて解放できた。世界チャンピオンも、自らの背後で競り上がるサガンも、余裕で退けた。これぞケーキの上のさくらんぼ。区間2勝目で、マイヨ・ヴェールもついに完全に自分のものとした。
「キング・オブ・スプリンター」がシャンゼリゼを勝ったのは、2011年マーク・カヴェンディッシュ以来、実に9年ぶり。ベネットは「キング・オブ・レギュラリティ(安定王)」サガンから初めてマイヨ・ヴェールをむしり取った英雄となり、祖国アイルランドに、1989年ショーン・ケリー以来31年ぶりのポイント賞を持ち帰った。
その1989年大会の、グレッグ・レモンの大逆転劇に匹敵する衝撃を作り出し、この日に生まれて初めてマイヨ・ジョーヌを着て走ったポガチャルは、同タイム41位でラインを越えた。21歳最後の日での戴冠。1904年大会を19歳で制したアンリ・コルネに次ぎ、史上2番目に若いツール・ド・フランスチャンピオン誕生の瞬間だった。
「信じられないよ。本当にクレイジーだ。たとえ2位で終わろうが、最下位だろうが、僕はこの場にいたいと思うだろうね。これぞトップの中のトップ。今日はスペシャルな1日だった。プロトン内のすべての選手が、僕のところにおめでとうを言いに来てくれた。ホント、このスポーツは素敵だ」(ポガチャル)
ようやくチームメートとも「走りながらおしゃべりできた、だって毎日全力だったもん」なんて少年ぽく笑う新米マイヨ・ジョーヌは、スロベニアの先輩であり、ライバルであり、良き友でもあるプリモシュ・ログリッチとも健闘を称え合った。11日間守ってきた黄色を失った後、記者会見で「ちょっと泣いた」と告白したログラも、愛息を抱いて、優しい笑顔で初のツール表彰台へと上った。スロベニア人として初のツール区間勝利(2017年)、初のグランツール制覇(2019年ブエルタ)に続き、初のマイヨ・ジョーヌ着用を成し遂げたログリッチと、初のマイヨ・ジョーヌ獲得を達成したポガチャルは、大急ぎでパリへ飛んできたスロベニア大統領ボルト・パホル氏の祝福も受けた。
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