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【宮本あさかのツール2020 レースレポート】季節外れの「夏休みの風物詩」は、幸せな大団円を迎えた。しかし、特別な2020シーズンは、たくさんのレースを残してぼくらを魅了する! / 第21ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかサム・ベネット
4つの色ジャージの中で、唯一、「数字の上では」決していなかったのがマイヨ・ヴェール。最終日の朝の時点で2位ペーター・サガンや3位マッテオ・トレンティンにも、ほんのわずかながら、逆転の可能性は残っていた。
だからこそ首位ベネット擁するドゥクーニンク・クイックステップは、逃げとのタイム差をコントロールしつつも、ポイントを競り落としに向かう。3回目のライン通過直後に設定された中間スプリントでは、逃げの後ろできっちり5位13pt獲得。6位通過トレンティンの、希望を完全に消し去った。
一方で、第10ステージで緑を失ってからというもの、連日チーム総出であらゆる手を試してきたサガンは、もはや中間スプリントには参加しなかった。2012年にツールを初めて走ってから、4日目に失格処分を下され帰宅した2017年大会以外、毎年必ず緑ジャージを持ち帰ってきた男は、すでに2日前に事実上の敗北宣言を出していた。「最善は尽くした」と8度目のポイント賞をきっぱり諦め、「パリでは全力で区間を勝ちにいく」と語っていた。
もちろんすべてのスプリンターが、全力で区間を勝ちに行った。後方から逃げを制御し、タイム差も最大20秒程度しか与えなかった。周回を重ねるごとにスピードを上げていき、最終周回に入ると1人ずつ逃げを飲み込んでいった。残り3.5kmで全員回収する頃には、すでにいくつもの隊列が組まれていた。
最後に残った1本は、やはりウルフパック列車だった。フラムルージュをカスパー・アスグリーンが先頭でくぐり、コンコルド広場をミケル・モルコフが一番で抜け出した。ラスト500mまで完璧にお膳立てしてもらったベネットは、そこから「向かい風」を避けるため、あえてトレック列車を利用する。マッズ・ピーダスンの後輪に入り込むと、アルカンシェルで走る最後のレースにかける世界王者の加速をきっかけに、残り350mで飛び出した。
「僕にとってのドリームチーム、ドゥクーニンク・クイックステップと共に、これを成し遂げた。1日中チームメートが仕事をしてくれた。彼らはファンタスティック。どれだけ感謝しても足りないほどだ」(ベネット)
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