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サイクル ロードレース コラム 2020年9月20日

【宮本あさかのツール2020 レースレポート】歴史に刻まれる《世紀の逆転劇》。若者は美しく、そして残酷に、異次元の走りで全てを奪い取る「これがレース。僕らはみんな勝つために走っている」(ポガチャル) / 第20ステージ

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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「上りに関しては、自分としても、最高の出来ではなかった。それでもフィニッシュラインを越えた瞬間、かなりいいタイムトライアルが実現できたぞ、と感じたよ。だから僕が優勝か、さもなければ負けても優勝にかなり近いタイムが出せたはず..と思っていたんだ。でも1分以上も突き放されてしまうとはね」(デュムラン)

全長5.9kmの上りに入る前に、すでに6分42秒の遅れを喫していたリチャル・カラパスは、もちろん区間優勝などはまるで頭になかった。むしろコース前半3分の2は、「あえて」ゆっくり、体力を無駄遣いせぬよう走った。

考えていたのは、ただ、登坂タイムだけ。ポガチャルに対する2ptリードをなんとか守り切り、2日前に手に入れた山岳ジャージをパリまで持ち帰ることだけ。走り終わった時点で登坂タイムは4位。しかし全員がフィニッシュした後には、7位に後退していた。区間勝者からは1分12秒の遅れだった。ポイントは1点も取れぬまま。一方でライバルは10ptを収集し、赤玉ジャージを横取りした。

「このジャージを着て走った時間を、1秒たりとも無駄にせず楽しんだ。マイヨ・ア・ポワを守るために、あらゆる努力を尽くしたよ。でも単純に言えば、彼は、僕より強かった」(カラパス)

若者は美しく、そして残酷であった。区間勝利や、山岳賞はもちろん、ポガチャルはマイヨ・ジョーヌさえもさらっていく。

ログリッチの調子がいつも通りでないことは、誰の目にも明らかだった。なにも異様だったのは、サイズの合わないヘルメットだけではない。崩れた走行ポジションに、くすんだ顔色。「たしかにベストデーではなかった」と本人は簡潔に答えただけ。ただ3つの地形が織り交ぜられたコースの、第1部の平坦ゾーンで、同国の後輩から早くも13秒をむしり取られた。第2部アップダウンゾーンで差は36秒に広がり..第3部の最終登坂が始まっても、被害は加速度的に拡大するばかり。重くて硬いTTバイクから軽めの登坂用自転車へのバイク交換のタイミング(ポガチャル5.7km、ログリッチ5.2km)は、本人がこんな状態だけに、おそらくほとんど影響はなかった。残り3.9kmで、虎の子の57秒をすべて失った。

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