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【宮本あさかのツール2020 レースレポート】誇り高きイネオス・グレナディアーズがつかんだ美しき栄光「エガンが見てくれてるといいな」(クフィアトコフスキ) / 第18ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかこの日の主題はまた、前夜に持ち主が入れ替わったばかりのマイヨ・ア・ポワでもあった。行く先には5つの難峠が待ち受け、全部1位通過すれば、トータルで大量47ptが手に入る。だからこそ前区間終了時点で6位ナンス・ピーターズ、7位カラパス、8位マルク・ヒルシ……と、赤玉上位がまとめて逃げだした!
ちなみに山岳賞首位タデイ・ポガチャルや、2位ログリッチ、3位ミゲルアンヘル・ロペスは、当然ながら後方で動かず。ユンボ隊列がほどよく刻むリズムに乗って、ステージ後半にやって来る総合争いの時を待った。そして本来ならばエガン・ベルナルと共にメイン集団に残っていたはずのイネオス・グレナディアーズが、この日は、総力を挙げて4人を前に送り出した。
緑争いの直後に道が上り始めると、乗り遅れた5位ピエール・ローランや10位レナード・ケムナも、それぞれに集団吸収やブリッジを試みる。ただしイネオスが凄まじい牽引を見せ、新たなライバルの合流を決して許さない。同時に32人という大量の逃げから、余計な成分をもどんどん削り落としていく。この日最初の山岳、1級コルメ・ド・ロズラン山頂にたどり着く頃には、18人にまで先頭集団は小さくなっていた。
過去8年で7度のツール総合制覇を成し遂げたイネオス自体も、決して完全体ではなかった。逃げ形成に大いに力を尽くしたディラン・ファンバーレとジョナタン・カストロビエホはすでに脱落し、残るクフィアトコフスキが、ただひとり淡々と山を引いた。過去3年間、異なる3人のリーダーのツール総合制覇を支えてきた有能なアシストは、この日はいつもとは違う使命を帯びていた。つまり第16ステージ12pt、第17ステージ20ptと、この2日間だけで山岳ポイントをかき集めたカラパスを、山頂へいち早く引き上げるというもの。
「最強チームに所属している限り、重要なのは『勝利』だけ。チームで一番強い選手を支え、勝たせること。目標が総合優勝だろうが、区間勝利だろうが、山岳ジャージだろうが、それは変わらないんだ」(クフィアトコフスキ)
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