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【宮本あさかのツール2020 レースレポート】ログリッチがマイヨ・ジョーヌを堅持して、いよいよ舞台はクイーンステージへ「明日は暴力的なフィニッシュが待っている」(ポガチャル) / 第16ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか「正直に言ってジャージを守れるとは思ってなかった。でも、前の方でライバルたちがポイントを潰し合ってくれたおかげで……僕にとってはありがたい展開となった。いずれにせよ、僕は幻想なんて抱いてない。明日がこのジャージで過ごす最後の日になるだろう」(コヌフロワ)
飛び出し合戦を見送った後、後方ではユンボ・ヴィスマが淡々とメイン集団を制御した。休息日の延長か。それとも翌日以降の激戦に備えた、体力温存のためか。おかげで逃げていった集団とのタイム差は、距離が進めば進むほど、開いていく。
……それほどゆっくりとしたリズムであっても、ベルナルはついていけなかった。クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ以来続く背中の痛みは、もはや耐えきれないほどに大きくなっていた。しかも最終盤は膝さえ痛みだした。「身体のあらゆる部位が壊れてる」と嘆くディフェンディングチャンピオンがグルペットでもがき苦しむ一方で、昨ジロ・デ・イタリア総合覇者のカラパスが、最前列で獰猛な攻撃を炸裂させる。
残り35km、この日最後から2番目の峠に突入する前に、カンタン・パシェが単独で飛び出していた。しかしこの1級峠の山道が始まると、残された逃げグループからアマドールがアタックを仕掛ける。もちろんチームメートのカラパスもすかさず共鳴。続けて自らが力任せに2度加速し、逃げ集団を完全にぶった切った。ただついて行けたのはケムナ、ライヒェンバッハ、そしてジュリアン・アラフィリップの3人だけ。残り26kmでパシェも回収する。
カラパスはさらに畳みかける。山頂まで2kmに近づくと、豪快にがつがつとペダルを踏み下ろした。何度でも。何度でも。ライバルたちが疲弊して千切れていくまで。1回目の加速でパシェはあっけなく姿を消した。2回目にはアラフィリップが力尽き、3回目にはライヒェンバッハがとうとう落ちた。まるでゴリ押しのように、荒々しい加速は繰り返された。しかしケムナだけは踏みとどまった。ピタリと背中に張り付き、山頂まで耐え切った。
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