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【宮本あさかのツール2020 レースレポート】ログリッチがマイヨ・ジョーヌを堅持して、いよいよ舞台はクイーンステージへ「明日は暴力的なフィニッシュが待っている」(ポガチャル) / 第16ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかいつものように、緑を巡る野望だって入り乱れた。今大会も残り6日となり、首位との差は45ptもありながら、ペーター・サガンは決してマイヨ・ヴェールを諦めていないらしい。この日だって逃げへ飛び乗ろうと、必死に加速した。ボーラ・ハンスグローエの仲間たちも、交代で前方へと引っ張り上げた。しかし、サム・ベネットだって、緑を手放したくはない。ウルフパックが盾となり……時には自らが身体を張って、サガンの前身を食い止めた。
「本来の計画はペーターを逃がし、ポイントを獲らせるというものだった。でも結局はダニエル(オス)と僕だけが前に残った。だから『OK、こんなに大きなチャンスはないぞ』と思い直して、中間ポイント後はステージ優勝へ向かって全力を尽くしたんだ」(ケムナ)
むしろマッテオ・トレンティンが上手くやった。ベネットvsサガンの警戒合戦をするりとかいくぐり、第15ステージに続き、この日もまんまと逃げに飛び乗ったのだ。望み通りに中間ポイントで先頭通過20ptを懐に入れ(ちなみに14位フィニッシュで3ptも収集)、いまやベネットからの遅れは57ptでしかない。たった2区間前の93pt差から、急速に追い上げている。
奇妙な山岳ジャージ争いも続行中。2日目にマイヨ・ア・ポワを手にしてから、すでに14日間も赤玉で過ごしてきたブノワ・コヌフロワだが、ポイント自体は第9ステージから1ptたりとも増えていない。この日も逃げにトライはしたものの、結局は弾き飛ばされて、あとはグルペットで静かにステージを終えただけ。
それでも、なにやら呪われているフランスの諸先輩方に比べて、元U23世界チャンピオンは本人も認めるように「幸運」な男である。実は2区間連続で逃げに滑り込んだピエール・ローランが、2級峠で2度ともにわざわざ山頂手前でアタックし、多大な努力を払って1位通過を果たしたことにより、ポイント自体は同点36ptで並ばれた。ただし1級峠の首位通過数がコスヌフロワ2回に対して、ローランは1回。このわずかな違いが、2人の身分を分けた。最低でもあと1日は、コスヌフロワが山岳賞首位として過ごす。
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