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【宮本あさかのツール2020 レースレポート】マルティネスが素敵なリベンジで山頂にハートを描く。マイヨ・ジョーヌのログリッチは「僕にとってはスロベニアデー」 / 第13ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか「ポーレスがシャッフマンと先行していた時は、かなり心静かに過ごせたんだ。でも無線でポーレスの脱落を聞いて、決意した。僕が行かなきゃならない。これは僕の義務だ、って」(マルティネス)
8月の「ツール前哨戦」クリテリウム・デュ・ドーフィネの総合勝者が、この春の「ミニツール」覇者を追いかけた。マルティネスは毅然とペダルを回し続けた。ケムナには一切の協力を仰がなかった。そして最終7つ目の峠、観客が鈴なりのピュイ・マリーの山頂手前1.7kmで、シャッフマンをとらえた。
ボーラ2人に対して、自らは1人。たしかに不利な状況ではあった。ただ終了後に「回復には数日かかりそう」と苦笑いのシャフマンが、もはや限界ぎりぎりだったことを、マルティネスは瞬時に理解した。しかも「スプリントに持ち込めばケムナには絶対に勝てる」との確信も抱いていた。ひたすら速いリズムを心掛けた。前者を振り落とし、後者のカウンター攻撃を封じ込めるために。
大会直前に誕生日を迎えたばかりの24歳は、見事にやり遂げた。大会2日目に総合争いから滑り落ちただけでなく、落車のせいで調子がずっと上がらなかった。「メンタル面でも苦しかった」とも告白する。それでも「絶対に自分はステージを勝てると分かっていた」し、なにより勝ちたかった。ラスト700mでシャフマンを完全に突き放した。500mで早掛けを試み、さらに残り150mで大胆にスプリントを切ったケムナをも、力強く退けた。2年ぶり2度目のツール参戦で、ついに生まれて初めて、グランツール区間勝利を手に入れた。
「ドーフィネでは絶好調だったし、その後もしっかり体力を回復できた。でも不運にも落車して、タイムを失った。でも、今はずいぶんと、調子がいい。感覚が戻ってきている。だからこの先は、ウランのために、しっかり働くよ」(マルティネス)
大会初日にはティボー・ピノが、2日目にはマルティネスが、落車のせいで総合争いのチャンスを失ったが、この13日目の金曜日には、2人の総合勢が落車で大会を去った。100km地点の下りで、メイン集団の数人が将棋倒しに。巻き込まれた総合13位バウケ・モレマは、左手首の複雑骨折で即時リタイアを余儀なくされた。
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