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【宮本あさかのツール2020 レースレポート】堂々たる王者たちの張り合いは、最後の一瞬で均衡が崩れた。完全に自分の軌道を最後まで貫いたユアン「タイミングも場所もまさしく正解だった」 / 第11ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかステージ優勝したカレブ・ユアン
静かな1日の終わりには、とてつもない大接戦が待っていた。今大会最長1.6kmのロングストレートの果てに、4選手がハンドルを投げ、車輪4分の1差でカレブ・ユアンに軍配が上がった。1978年に母国の英雄ショーン・ケリーが制したポワティエで、サム・ベネットは勝ちこそつかめなかったものの、マイヨ・ヴェールのリードはさらに大きく開いた。ペーター・サガンは、どうやら少々積極的に攻めすぎた。フィニッシュラインは前から2番目に越えたものの、審判団の協議により降格処分を下された。マイヨ・ジョーヌ護衛役とエーススプリンターとを完璧に兼任するワウト・ファンアールトは、サガンに行方を阻まれ、無念にも3つ目の勝ち星を逃した。
「去年が3勝で、今年はすでに2勝。ツール初出場からの2年で5勝もあげられたんだから、すごく満足しているよ。この先この数字をどこまで伸ばしたいか..っていう目標は具体的には考えていないんだ。もちろんできる限り勝ちたい。でも、今は、むしろ今大会3勝目が欲しい。特にパリで勝ちたい。山を乗り越えて、パリでスプリントがしたい」(ユアン)
お天気は良く、風も大して強くなく、行く先には4級峠が1つだけ。つまり絶好のサイクリング日和だった。スタートと同時にマチュー・ラダニュが飛び出すと、メイン集団は静かに見送った。大きな塊のままゆっくりのんびりと移動し、わずか18km走っただけで、孤独な逃避行に5分ものリードを与えた。
追いかけた選手がいなかったわけではない。20km過ぎで、オリバー・ナーセン、シュテファン・キュング、ミヒャエル・ゴグル、ルーカス・ペストルベルガー、ジャスパー・ストゥイヴェン、トム・ファンアスブロックが飛び出した。ただし今度はプロトンが許さなかった。1人逃げならいいけれど、強豪ルーラー揃いの6人を先に行かせては後々厄介になる。スピードをほんのちょっと上げて、ほんの10kmほど先で6人を回収した。
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