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【宮本あさかのツール2020 レースレポート】サム・ベネットが史上最強の緑男からまたしてもジャージを奪う「このチームが誇らしいし、本当に満足している」 / 第10ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか代わりにレース委員で、パリ〜ニースではレース委員長を務めるフランソワ・ルマルシャンがスタートフラッグを振り下ろすと、シュテファン・キュングとミヒャエル・シェアーが加速。大西洋の美しき島オレロンからフランス本土へと向かう橋の上で、前方へと飛び出した。すかさずプロトン前線は横一列に並ぶ。いわゆる「蓋を閉じ」、あっさり逃げを見送った。
スイスの強脚ルーラーの背後で、ただしメイン集団のスピードはちっとも緩まない。風のせいだ。大西洋の島から島へと向かうステージ上には、いくつも「分断」のリスクが待ち構えていた。誰もが集団前線に居場所を確保しようと、神経質にポジション取りを繰り広げた。特に大会7日目にボーラ・ハンスグローエが仕掛けた罠にはまった……本来ならば横風職人のドゥクーニンク・クイックステップが、この日は集団先頭で猛烈なリズムを刻む。おかげで序盤1時間の時速は49km超!
2人は力づくでどうにか2分ほどのタイム差を開くも、再び非情にも距離は縮まっていく。そして残り約102km、北西への方向変換と共にウルフパックがガツンと加速し、希望通りに分断を作り出したタイミングで、逃げにも終止符が打たれた。
風に加えて、この日やっかいだったのは、市街地に、狭い道幅、そして繰り返されるイロー(中央分離帯)やロンポワン(ロータリー)。風分断に慌てた選手たちが前へ前へと押し寄せたとき、これらは凶器に変わった。残り99km地点で、まずは1つ目の大きな集団落車が発生する。メイン集団半ばで、将棋倒しが起こる。複数が激しく地面に叩きつけられ、サム・ビューリーは左手首骨折で即時リタイアに追い込まれた。マイヨ・ジョーヌ護衛隊のロベルト・ヘーシンクもまた、右半身を痛めた。
その後スピードは落ち着き、脱落者たちも次々と集団復帰を果たすが、最前列は相変わらず混雑を極めた。誰もが次の攻撃を恐れていた。総合エースもスプリンターも位置取りにナーバスになり、特に7日目に風で1分21秒を失ったタデイ・ポガチャルのために、UAEチームエミレーツはがっちりと隊列を組んだ。しかし残り65km、ロシュフォールの市街地に入ったきっかけで……その前線が2度目の集団落車の犠牲となる。総合3位ギヨーム・マルタンや総合7位ポガチャルが巻き込まれ、ブライアン・コカールは背中から落ちた。無線機ごと腰を打ち付けたせいで痛みがひどく、監督から「今日はスプリントするな」と忠告されたほど。
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