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【宮本あさかのツール2020 レースレポート】幸と不幸の両方がフランスを包む。ティボー・ピノ「今日はもしかしたらキャリアの分岐点かもしれない」 / 第8ステージ
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか連日3時間の治療を受け回復に努めた。恐れていた第7ステージの横風分断も上手く抜け出し、チーム全体の士気も高まっていた。しかし非情にもすべての望みは断たれた。5人のチームメイトに付き添われ、必死に最後までしがみついたが、総合ライバルから19分近いタイムを失った。
「チームメートに謝罪したい。だってこれは誰にとっても大きな失敗だ。チームにとっても、僕にとっても。今日はもしかしたらキャリアの分岐点かもしれない」(ピノ)
フィニッシュ後に突き出されたマイクに真摯に向き合ったフランスの星は、リタイアの意思は無いこと、この先はチームみんなで区間勝利を追い求めていくことを誓う。
ピノが遅れたのは、ユンボ・ヴィスマが猛烈にメイン集団を牽引し始めた直後だった。ミッチェルトン・スコットから主導権をむしり取り、隊列を組んでスピードを上げた。前日に驚異的なスプリント2勝目を奪ったワウト・ファンアールトが、またしても猛烈なテンポを刻み、弱者を振り落としていく。ペイルスルドの上りに入ると、今度はトム・デュムランが力を尽くす番だった。どうやら調子が最高ではなかった2017年ジロ覇者は、自ら仕事役を買って出たという。だから上り始めにアラフィリップが加速を試みた際も、すかさず潰しに走った。
アラフィリップはこの直後にメイン集団から脱落。3日間着用したマイヨ・ジョーヌを取り戻そうと、2日間アタックやスプリントに奮闘してきたが、この日の終わりには首位イエーツから11分42秒差へと大きく後退した。また早々に力を費やしたデュムランも、1日の終わりには約2分を失った。
一方でタデイ・ポガチャルの1度目のアタックには、プリモシュ・ログリッチ自らが反応した。昨ブエルタ・ア・エスパーニャでは時に共闘体制を組んだ2人のスロベニア人は、この日は、並走を選ばなかった。ナイロ・キンタナがすかさず追いつき、さらにはエガン・ベルナルやその他の有力勢が追いついてくると……3秒遅れで総合2位につけるログラは、単に状況をコントロールするに留まった。苦しみ、何度も引き離されながらも、必死にしがみついてくるイェーツさえも、なぜか本気で突き放そうとはしなかった。
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