人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サイクル ロードレース コラム 2020年8月26日

【ツール・ド・フランス2020:選手相関】まさに文武両道。勉学に勤しむ選手たち。

ツール・ド・フランス by 宮本 あさか
  • Line
ロマン・バルデとギヨーム・マルタン

ロマン・バルデ(上)ギヨーム・マルタン(下)

そのまま法律で修士課程に進もうと考えたが、プロ入りのチャンスも逃したくはない。当時21歳のバルデは、さすがに授業とレースの二兎を追うのは難しいかも……と悩んだ果てに、学業内容の変更を決断。トップアスリートのためのeラーニングカリキュラムを要するグランゼコール(技術官僚養育を目的とした高等教育機関)で、マネージメントを学ぶことにした。ここなら学年の最初と最後の1週間だけ学校に顔を出せばよく、後はスカイプやオンラインで勉強を続けることができる。

それでも忙しいことには変わりはない。「家にいるときは、朝7時から9時まで勉強して、それからトレーニングに出かける。レースのときは、移動と疲労とで、もっと大変」とも告白している。2015年はドーフィネを終えたあと、学校で英語とドイツ語の口頭試験を受け、それからツール・ド・フランスを戦った。2016年はツール・ド・フランスで初めての表彰台を経験し(総合2位)、直後に夏季五輪を戦ったあと、約1ヶ月のオフを利用して勉強に打ち込んだ。

無事に学業を終えたのは2016年12月。修士論文を書き上げ、以降は自転車のみに全力投球。ちなみにちょっと気が早いけれど……「引退後はツール・ド・フランス開催委員長か!?」とさえ噂される!

このマーケティングは比較的人気の高い分野で、ティシュ・ベノートらも大学で学んでいる。アレクシー・ヴィエルモは経営学の銀行・保険マネージメント修士を取得しており、引退後の夢はプライベートバンクを運営すること!

学歴と多才さを競うなら、ギヨーム・マルタンとドメニコ・ポッツォヴィーヴォを推したい。

ご存知、「走る哲学者」とあだ名される前者は、「現代スポーツ:ニーチェ哲学の適用なるか?」で修士号を取得してからプロへと転向した。近頃は戯曲「プラトンvsプラトッシュ」や、哲学書「自転車に乗ったソクラテス。哲学者たちのツール・ド・フランス」といった、執筆活動に余念がない。一方のポッツォヴィーヴォは別名「ドクター」。理由は単純に経済科学の博士号を持っているから。しかも歴史や文学に精通し、ピアノを引きこなし、気象予報までやってしまう。39歳になる来季末まで選手としての契約が残っているけれど、その後はどうやら政治家を目指すらしい。

すでに39歳のアダム・ハンセンは、とっくの昔に第2の人生に片足を突っ込んでいる。しかも将来は、どう考えても安泰だ。よく知られているように、自転車シューズを自作しているだけではない。

大学でコンピュータプログラミングを習得したベテランは……2012年にロット入りした際に、同チームのロジスティクス面に問題を発見してしまった。そこでハンセンの取った行動は、なんと専門プログラムの開発!もちろん、2011年ブエルタから2018年ジロまで、20大会ぶっ続けで3大ツール全出走全完走を成功させてきた真っ最中の出来事である。

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
サイクル ロードレースを応援しよう!

サイクル ロードレースの放送・配信ページへ