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【フランス選手権:レビュー】アルノー・デマールが文句なしのフレンチトリコロール奪取「ほぼ完璧なレース。なにより団結の勝利」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかアルノー・デマール(写真中央)
圧倒的なチーム力と、圧倒的な個人力。まさに誰にも文句を言わせないやり方で、グルパマ・FDJとアルノー・デマールは、本命としての責任を全うした。青白赤フレンチトリコロールに対する敬意の念と、強い執着心との、見事な結晶だった。
「ほぼ完璧なレース。なにより団結の勝利だよ。まずは若手が全力で仕事をしてくれたし、最終盤にはベテランが戦術的に動いてくれた」(デマール)
たしかに人数的には最多だった。実はワールドチーム選手だけならたったの13人なのだが……(アルケア17人、トタル16人、AG2Rの16人と比べれば、「たったの」である)、グルパマには同じジャージをまとい、同じチーム名を冠するコンチネンタルチーム所属の4選手がいる。つまり「若手」たちが、先輩エースのために、若い力を惜しみなく費やした。1日中メインプロトン前方で集団コントロールに励み、特に終盤に危険な16人の逃げが出来上がると、熱心に隊列を牽引。残り5kmできっちり回収した。
たった2人ですべてに立ち向かった、勇敢な男たちもいた。ベルギー籍ドゥクーニンク・クイックステップ所属のジュリアン・アラフィリップとフロリアン・セネシャルだ。後半すでに何度も集団に揺さぶりをかけていた後者は、逃げ吸収と同時にとてつもない加速を開始。まるで猛牛のように突き進み、集団をあっという間ニーヴらばらに切り裂くと……ラスト4kmの坂道でアラフィリップを前方へと解き放ったのだ!
ナショナル選手権は無線使用が許可されていない。するとスタート前に監督たちがいかに入念な作戦を練り上げようが、現場で頼りになるのは「ベテラン」たちの判断だ。そして2018年フランス王者のアントニー・ルーの助言「アラフィリップがアタックしたら、ついていけ。チームが連れて戻れるかどうかは、もはや確実じゃない」が、デマールの背中を押した。
世界屈指のパンチャーは、弾けるようなアタックで一気に距離を開くも、重量級スプリンターは、じわり、確実に、間隔を狭めていく。背中にブライアン・コカール、つまり上れるスプリンターがぴったり張り付き、しかも協力する素振りさえ見せなかったが(「勝ちたいなら駆け引きをしなきゃならなかった」)、構わず前を追った。
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