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【クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ:レビュー】ベルナルもログリッチも途中棄権。頂点に君臨したのはコロンビアの新星ダニエル・マルティネス!
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかこのロンバルディア当日の8月15日は、自転車界にとってひどく不穏な1日となった。イタリアでは若き至宝レムコ・エヴェネプールが崖下に転落し、ドイツチャンピオンのマキシミリアン・シャフマンが、コース内に進入した自動車と衝突事故を起こした。ドーフィネでは、昨ツール総合4位エマヌエル・ブッフマンが落車で離脱を余儀なくされ、フランス期待の星ティボー・ピノもやはり落車で背中を痛めた。
ログリッチ
なによりこの不運の渦に、ユンボ・ヴィスマも巻き込まれてしまう。やはりエース格を引き受けるクライスヴァイクは、落車による肩脱臼で大会を去った。ログリッチさえ落車で一時は集団に遅れを取る。最終的にはメイン集団内の上りスプリントで2番目に食い込み、難を上手く逃れたかに思われたが、翌朝スタート地には姿を表さず。大事を取って、総合リーダーのまま戦いの場を離れた。
たしかに大会最終日には、緑ジャージのファンアールトが凄まじい牽引力を発揮した。自分のために走る機会を得たデュムランも、どうやら本調子を取り戻しつつあることを匂わせた。さらには山岳アシストのセップ・クスが、独走勝利をもぎ取った。2人のリーダー抜きでも、ユンボの強さは光った。しかしツール・ド・フランス開幕を2週間後に控えるこの時期に、ログラとクライスヴァイクが身体を痛め、調整スケジュールにずれが生じた。小さな疑問符が灯ってしまったことは、否定できない。
むしろイネオスには、大きな疑問符が点滅した。過去8回のツール・ド・フランスのうち、7回を勝ち取ってきた英国精鋭軍は、やはりトリオリーダー制で挑んだ。しかしツール・ド・ランでも、ドーフィネでも、ユンボの黄色い隊列に圧倒される場面が多かった。しかもグランツール総合7勝クリス・フルームと2018年ツール総合覇者ゲラント・トーマスは、リーダーを務めるどころか、アシストとしてさえ十分に働けぬまま。おかげでエガン・ベルナルは、しばしば孤軍奮闘を余儀なくされた。
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