人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サイクル ロードレース コラム 2020年3月30日

【プロトンは必ずやって来る!!】Cycle*2013 パリ〜ルーベ カンチェラーラ引退特別番組 〜スパルタクス 伝説の軌跡〜

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
  • Line
トム・ボーネン

2012年大会を制したトム・ボーネン


3週連続の石畳クラシック優勝はまた、史上10人目のフランドル&ルーベ2大モニュメント同一年制覇だった。その2年後の2012年、ボーネンがこれを上回る快挙をなしとげる。人生2度目の2大モニュメント同一年制覇はもちろん、4大パヴェクラシック(E3、ヘント〜ウェヴェルヘム、フランドル、ルーベ)を完全独占。特にルーベでは史上最多タイとなる4度目の栄光をつかみとった。

翌年はカンチェラーラが大暴れする番だった。またしてもE3→フランドルで全てをなぎ倒した。一方でオフ中に左肘を痛めたボーネンは、石畳シーズンになんとか間に合わせたが、ヘントとフランドルで痛恨の落車リタイア。ルーベには姿を表さなかった。前年から本格的なクラシック参戦に乗り出し、E3とフランドルで次点に食い込んだた当時23歳のサガンも、ルーベは回避した。

その代わりスパルタクスの前に立ちはだかったのは……残り全員!「全プロトンvs僕。こういう構図になるだろうとあらかじめ分かってた」と、優勝記者会見で振り返ったように。

あらゆる方面から攻撃の手は伸びてきた。多くのチームが揺さぶりをかけた。おかげでとてつもなくハイスピード戦が繰り広げられた。カンチェのアシストたちは早い段階で疲弊し、脱落していった。残り50kmでエースは完全に孤立した。周りにはオメガファルマが4人も残っているというのに。

ファビアン・カンチェラーラ

「これは戦争だ」。カンチェは冷静に腹をくくった。なにしろ2011年大会で「俺を勝たせないならお前らも絶対に勝たせない」と、執拗にマークしてくる敵もろとも自爆したほどの豪傑だ。そのせいか否か。決して協調しようとしないライバルたちは、次々と不運の連鎖へ巻き込まれていく。最後までかろうじて生き残ったヴァンマルクケも、まさに蛇に睨まれた蛙のような状態だった……と後に告白している。

大歓声の自転車競技場へ飛び込んだカンチェは、格の違いをまざまざと見せつけた。24歳の若者を残酷にも蹴散らすと、大地にごろりと寝転んだ。

「自己の限界を超えてはるか向こう側まで突き抜けた。だから地球に帰ってくるまでに、1分ほど時間が必要だったのさ」

自身にとって2度目のフランドル・ルーベ同一年制覇であり、最後のルーベタイトルだった。翌年もう1度フランドルを勝ち取るが、ルーベは3位に終わった。そして人生最後のルーベを40位で走り終えた4ヶ月後、ライバルのボーネンよりも約1年早く……2016年リオ五輪個人タイムトライアルの金メダルで、その輝かすぎるほどのキャリアを締めくくった。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
サイクル ロードレースを応援しよう!

サイクル ロードレースの放送・配信ページへ