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【ツール・ド・フランス 2019 第20ステージ / レースレポート】驚異の22歳エガン・ベルナルのマイヨ・ジョーヌがほぼ確定。ゲラント・トーマス「この先10年間は自転車界を席巻していくだろう」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか2019年ツールの最後の山頂フィニッシュでは、総合表彰台を巡る最終バトルも勃発した。この日の朝の時点で総合4位につけるステフェン・クライスヴァイクを、どうにかして初めてのグランツール表彰台に押し上げようと、ユンボ・ヴィスマがチーム一丸となり厳しいテンポを刻んだ。
次々と犠牲者が生まれ……ほんの24時間前までは黄色いジャージを着ていたジュリアン・アラフィリップも、耐えきれず後退していく。ついには表彰台の位置も明け渡した。それでも「腹の底からすべてを振り絞って走った。どこかの瞬間に決壊してしまうんじゃないかと怖かったけど、うまく力を制御し続けられた」と、トップ5は堅守した。沿道には「ありがとう、ジュリアン」の文字があちこちで見られ、大統領からは健闘を称える電話も届いた。「ツールを見ている人々に幸福を与えられたのが嬉しいし、この5位という成績が、とてつもなく誇らしい」
クライスヴァイクは望み通りに総合3位の場所を射止めた。ただ総合上位2つの地位を独占するチームイネオスの強固な守りを、打ち崩すことはできなかった。そもそも手と手を取り合い、笑顔で互いの健闘を称え合いながら、一緒に山の上へたどり着いたディフェンディングチャンピオンと新チャンピオンとを、引き離すことなど不可能だったのだ。
「1位と2位なんて、これ以上の夢は見られないほどだね。次の夢はなにかって?もちろん、1位と2位と3位を、チームで独占すること」と、ゲラント・トーマスはいつもと変わらぬクールな表情で言い放った。11歳年下の後輩からは、1分11秒遅れの総合2位。自分が勝ちたい……という思いがあったことも肯定しつつ、驚異の22歳を素直に讃える。「これから数年どころか、この先10年間は自転車界を席巻していくだろう」とも予言する。
総合争いに関わるステージを全て終え、パリへの大移動の前日、恒例の最終マイヨ・ジョーヌ記者会見にベルナルは姿を現した。「でも、まだ1ステージ残ってる。何事もなく上手く終わって初めて、僕が勝ったのだと言えるんだよ」と、22歳はシャンゼリゼ到着まで集中を切らすつもりはない。
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