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【ツール・ド・フランス 2019 第20ステージ / レースレポート】驚異の22歳エガン・ベルナルのマイヨ・ジョーヌがほぼ確定。ゲラント・トーマス「この先10年間は自転車界を席巻していくだろう」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかこれまでの10年を先頭で突っ走ってきたヴィンチェンツォ・ニバリが、2019年ツール・ド・フランス最後の山頂フィニッシュを勝ち取り、これからの10年を牽引していくであろうエガン・ベルナルが、おそらく自身にとってキャリア1枚目のマイヨ・ジョーヌをほぼ確定させた。3週間前にベルギーのブリュッセルから走り出したプロトンは、7月最後の日曜日、若き新チャンピオンの戴冠を祝う。
土砂崩れによるステージ中断と、マイヨ・ジョーヌ交代劇の翌日。第20ステージの距離は130kmから59kmに短縮された。完全中止の恐れもあった。当日のフィニッシュ地ヴァル・トランスにも大量の水が降り注ぎ、山道は川と化していたからだ。一部メディアからは「中止」と早とちりな速報も飛び出したが、最終的には「何かあったら即時打ち切り」の共通認識のもとレースは走り出した。
つまり超がつくほどの短距離ステージで、道の果てには超級ヴァル・トランスがたった1つ待ち構えるだけ。だからこそ多くの選手がチャンスをつかもうと、こぞって前に飛び出した。ただしステージ総距離は短くとも、登坂距離は33.4kmと桁外れに長い。山頂の標高も2000mを超える。本物の山男だけに許された領域だ。フィニッシュまで12km、前方からニバリがアタックを打つ。
5月のジロでは堂々総合2位に滑り込み、ツールにも「総合争いのため」に乗り込んできたはずだった。しかし本来の調子を取り戻せぬまま、1週目に早くも大幅にタイムを失った。「たくさん非難の声を浴びせかけられたし、チームとの意見の食い違いもあった」。それでも史上6人目の全3大ツール制覇を成し遂げ、ロンバルディとサンレモのモニュメントタイトルを誇る偉大なるチャンピオンは、「ツールに敬意を表したい」と、あらん限りの力を振り絞った。背後から猛烈に追い上げてきたモビスターコンビ、アレハンドロ・バルベルデとミケル・ランダをわずか十数秒差で振り切ると、自身6つ目のツール区間勝利を手に入れた。
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