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サイクル ロードレース コラム 2019年7月27日

【ツール・ド・フランス 2019 第19ステージ / レースレポート】「34年ぶりの仏人イエロー」の夢から覚め、コロンビアは史上初のツール総合覇者誕生に期待

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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エガン・ベルナル

2019年ツール・ド・フランスの「屋根」、イズランのてっぺんで、ステージは打ち切られた。標高2770mの頂を、ひとり先頭で駆け抜けたエガン・ベルナルが、その時点のリードをもって総合首位の座に立った。大雨が通り過ぎたティーニュの山頂で、嬉し涙とともに、22歳の若者は生まれて初めてのマイヨ・ジョーヌをまとった。大会開催国のフランスは「34年ぶりの仏人イエロー」の夢から覚め、コロンビアは史上初のツール総合覇者誕生の期待にわいている。

波乱に満ちた1日だった。ハイスピードのアタック合戦が繰り広げられた背後では、ティボー・ピノに異変が起こっていた。2日前のステージで落車を避けようとハンドルを切った際に、軽く打ち付けた膝が、ひどく傷みだしていたのだ。前日は歯を食いしばり、大部分のライバルたちと同タイムでフィニッシュしたが……この日はもはや耐えることができなかった。

スタートから36km地点で、涙のリタイア。「ピレネーの調子さえあれば、総合優勝も可能だと感じていた」というフランス人は、後にマイヨ・ジョーヌを手にするベルナルから20秒遅れの総合5位のまま、大会を去って行った。「惑星直列はいつか起こる。いつか僕にとって全てが完璧に上手くはまるツールがやってくるはずなのさ」と信じて2019年大会に乗り込んできたピノだが、ツール出走7大会中、実に4度目の途中棄権を喫したことになる(3つのグランツールでは出場12回リタイア6回)。

「もしも僕がジャージを失った時には……何度も繰り返すようだけれど、ピノにこのマイヨ・ジョーヌを着て欲しいんだ」。前日第18ステージのフィニッシュ後にも、改めてアラフィリップはこう公言していた。しかし理想のシナリオ通りに物事は運ばなかった。後を託すフランス人が不在などころか、自分の元にマイヨ・ジョーヌを留め置くことすらできなかった。

トゥルマレやガリビエで驚異的な粘りを披露したフレンチパンチャーに、止めを刺したのはイズランだ。アシストはもはやなく、孤独に巨大峠に挑みかかったアラフィリップを、ライバルたちは積極的に揺さぶった。チームイネオスは恐ろしいほどの高速牽引を続け、山頂まで残り6.5kmで、まずは昨大会覇者ゲラント・トーマスが加速を切る。ユンボ・ヴィスマの絶対的エース、ステフェン・クライスヴァイクもカウンターアタックに転じた。総合3位と4位の相次ぐ攻撃に、14日間マイヨ・ジョーヌを着てきた男が、ついに崩れた。

標高はすでに2300mを超えていた。ここから上はコロンビア人にとっての「庭」なのだ。そこまで比較的静かにペダルを回してきたベルナルも、ついに攻撃開始。前日はトーマスが自らに「アタックを打て」と指示してくれたが……この日は「自分でアタックを決意した」という。「守備的に走れば表彰台は守れるかもしれないけど、総合優勝は絶対にない。リスクを冒せ。後悔するな」こう覚悟を決めた22歳は、トーマス集団にあっさり追いつき、追い越した。序盤からの逃げ集団も回収し、そして放棄した。最後までしがみついたサイモン・イェーツをも無情に切り捨て、高みへと孤独に突き進んだ——。

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