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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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フレッシュ・ワロンヌでおなじみのユイの壁を2012年に制した激坂王ホアキン・ロドリゲスが、ツール・ド・フランスにおける「ユイ初代王者」の座を勝ち取った。2013年ツール覇者のクリス・フルームは、早くもマイヨ・ジョーヌを身にまとった。しかし大会3日目を彩った最大の事件は、とてつもなく巨大な落車と、開催委員会の主導によるニュートラリゼイションだった。
激しかったステージの翌日、選手たちは安全に1日を終えたい、と切に望んでいたはずだった。スタートと同時にヤン・バルタ、ブライアン・ノロー、マルティン・エルミガー、セルジュ・パウエルスの飛び出しを許すと、前半の平坦な道を、プロトンは淡々とペダルを回した。自らの愛するフランドルの大地で、ファビアン・カンチェラーラは現役最多29日目のマイヨ・ジョーヌを堪能した。史上最多着用記録96日を誇る史上最強の自転車選手エディ・メルクスの生誕地では、暖かな歓迎を受けた。前を行く4人には最大3分半ほどのリードを与えた。
退屈なほどに整然とした隊列で、一行は道を進んだ。65kmほど走ると、ベルギーのもうひとつの地方、ワロニーへと足を踏み入れた。少しずつ、ほんの少しずつ、集団内に緊張感が増していく。道も、少しずつ、うねりと起伏を増していった。谷間には風が吹き始めた。そして補給地点を終えると、プロトンは一気に戦闘モードへと切り替えた。1分ほど残っていたタイム差をあっという間に消し去った。山岳ポイントさえ収集させてもらえぬまま、逃げの4人は飲み込まれた。
ひとつになった集団は、真っ直ぐな突き進んでいた。平坦そうに見えたけれど、道は軽く下っていた。走行時速は80km近くまで出ていた。
そんな時だった。集団の比較的前方を走っていたウィリアム・ボネが、バランスを崩した。アスファルトに倒れこむと、派手に何度も回転した。……ブレーキをかける間もなく、20人ほどの選手が巻き込まれた。ある者は街灯の柱に突っ込み、ある者は沿道の牧草に突っ込んだ。そして黄色い自転車が一台、空中へゆっくりと跳ね上がった。ファビアン・カンチェラーラが、巻き込まれたのだ!
この105km地点=ゴール前54.5km地点の大事故の直後には、107km地点で再び大きな落車が発生する。第一の落車ではボネ、トム・デュムラン、サイモン・ゲランスが即時リタイヤし、第二の落車ではドミトリ・コゾンチュクが戦線離脱を余儀なくされた。デュムランはゴール地に設置されたレントゲン施設へ、他の3人はユイの救急病院へと搬送された。それでも多くの選手たちが、破けたジャージから赤い血の色を覗かせながら、再び自転車にまたがった。カンチェラーラも立ち上がり、走り出した。頭をふり、腰の痛みを訴えながらも、レース続行を決めた。
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