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サイクル ロードレース コラム 2015年7月12日

ツール・ド・フランス2015 第8ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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メイン集団はすぐに火消しに走った。新しい集団が遠くに行くことも拒絶した。とりわけキャノンデール・ガーミンのライダー・ヘシェダルの寛容なる努力で、危険因子はきっちり回収した。一時的に最前列に残ることを許されたフザルスキーとラルスイティング・バク、ミカル・ゴラスもまた、やはりダニエル・マーティン擁する黄緑集団の懸命な制御により、ゴールまで8kmを残して吸収されていった。

全ては壁での一発勝負に向かって行った。BMCが6両編成の列車を組んだのは、総合3位ティージェイ・ヴァンガーデレンを好位置に留め置くためであり、サムエル・サンチェスを発車するためでもあった。連日働きづめのロット・ソウダルの面々は、グライペルのためでなく、今日はトニー・ギャロパンのために奮闘した。ティンコフ・サクソはダブルツールを狙うアルベルト・コンタドールの護衛に努め、そんなチームの仕事を利用して、サガンも好ポジションにつけた。ゴール前2kmの、右直角カーブには、スカイが先頭で飛び込んだ。もちろんマイヨ・ジョーヌを引き連れて。

フィニッシュまで1500m、フルームが坂道で先頭に立った。ヴュイエルモーズが、シモン・ゲシェケやアダム・イェーツを伴って前方に飛び出すと、フルームは恐ろしいペースで追いついていった。なにも3人のアタックを潰したかったわけではない。見晴らしの良い集団のてっぺんで、あらゆるライバルたちの動きを俯瞰し、コントロールしたいと考えたから。

「正直に言うと、今日の最後の上りで、僕の優位性を見せつけようなんてことは考えていなかった。ただ前に位置取りし、全員に目を配った。誰かがアタックした際の状況に備えたかった。自分のリードをしっかり守ることだけを考えていた。ここでは大きな差はつかないと分かってたからね」(フルーム、公式記者会見より)

あえなく集団に引きずり戻されたかに見えたヴュイエルモーズも、実は、フルームの動きを上手く利用したに過ぎなかった。

「朝から予定していた通りに、坂道の早めのパートでアタックした。そうしたら2選手が張り付いてきた。でも彼ら2人を、あのまま、フィニッシュまで連れて行きたくはなかったんだ。だから一旦、速度を緩めることに決めた。フルームが追いついてきた後は、僕は上手く彼の後輪に入った。ほんの少し息をついた。そして集団のリズムが落ちた瞬間に、再びアタックした」(ヴュイエルモーズ、公式記者会見より)

2度目の加速が、決定打となった。がむしゃらにマーティンが追いかけてきたけれど、もはや細身のフレンチヒルクライマーは手の届かないところへと到達していた。2014年パリ〜ニースではカルロス・ベタンクールを総合優勝に導き、同年ジロ・デ・イタリアではドメニコ・ポッツォヴィーヴォの総合5位に尽力しつつ、自らも総合11位に入る奮闘を見せた。マウンテンバイクでは団体世界チャンピオンにまで上り詰め、2012年、ロード転向してからは有能なる「山岳アシスト」として高い評価を得てきた27歳が、自らが単独で光り輝くチャンスを見事につかみとった。

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