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「できる限り長くしがみつこうと頑張ったけど、フルームとスカイのテンポが僕には速すぎた。チームメートについていくことさえやっとだった。理由は分からない。ただ呼吸が苦しかった。でも、苦しんだのは僕だけじゃなかったようだね。コンタドールやヴァンガーデレンも、タイムを失って……」(ニーバリ、ゴール後TVインタビューより)
スカイによる大虐殺は止まらなかった。ホアキン・ロドリゲスも、バルギルも振り落とされた。今年の2月にツアー・オブ・オマーンを制したラファエル・バルスが飛び出したときは、好きなように泳がせておいた。しかしラスト8kmでアレハンドロ・バルベルデが仕掛けると、状況は違った。ナイロ・キンタナの右腕であり、モヴィスターのダブルリーダーの攻撃に、ゲラント・トーマスが献身的な牽引を披露した。バルベルデは2度アタックを仕掛け、2度ともトーマスがきっちりと火を消した。
ラスト7kmまでくると、スカイの山岳最終アシスト、リッチー・ポートがリレーを引き継ぐ番だった。前日の休養日に、今季限りで英国精鋭軍を離れることを宣言したオージーは、親友フルーミーのために驚異的な加速を切った。とてつもないリズム変化が、アルベルト・コンタドールとティージェイ・ヴァンガーデレンの息の根を止めた!
「難解な1日だった。うまく呼吸ができなかったし、脚の乳酸を分解することができなかった。ペースについていけなくて、いわゆるバッドデーだった。だってフルームについていけなかっただけじゃなく、ほかの選手にさえついていけなかったんだから」(コンタドール、チーム公式リリースより)
「上りの序盤10kmはひどく勾配がきつくて、すごく苦しんだ。スカイについていこうとベストを尽くしたけれど、急激なリズム変化についていくことができなかった」(ヴァンガーデレン、ゴール後インタビューより)
そもそもポートの背中に張り付いていけたのは、チームリーダーのフルームとキンタナの2人だけ。2年前のツールでは、総合優勝フルームに次いで総合2位に入ったマイヨ・ブランは、極めて冷静にマイヨ・ジョーヌの後輪に入り込んだかに見えた。しかし、ゴール前6.4kmだった。おなじみのクルクルッという高速ペダル回転でフルームが前に進み出ると、もはやコロンビアの山岳巧者には手も足もでなかった。
「ライバルたちの状態をテストしたいと考えていて、そしてクリス・フルームが優位に立っていることを理解した。彼は本当に強かったし、そのことは認めなきゃならないね」(キンタナ、チーム公式HPより)
ひとりになったフルームは、ただ一心に山頂を目指した。チームメートの頑張りに応えるために。ツール未踏の山に初めての勝者として名を刻むために。ライバルたちとのタイム差を、1秒でも開くために……。マイヨ・ジョーヌは、山頂でハンドルさえ投げた。
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