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サイクル ロードレース コラム 2015年7月25日

ツール・ド・フランス2015 第19ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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一方でフルームはニーバリ以外のライバルに合流し、無事にレースを再開した。それに、たとえフルームが腹を立てたとしても、総合7位・8分04秒差のイタリアチャンピオンの攻撃は、マイヨ・ジョーヌに直接的な被害など降りかかるはずもなかった。

「ニーバリのような選手がアタックをすると、他の総合トップ10選手たちが、自らのポジションを守るために攻撃的に走るかもしれないと恐れていた。コンタドールとか、バルベルデとか……。そのドミノ倒し効果で、僕にも影響が出てくる可能性はあった」(フルーム、公式記者会見より)

いわゆるドミノ倒し効果を恐れるマイヨ・ジョーヌは、クロワ・ド・フェール山頂間際で、総合10位バルデが単なる山岳ポイント収集に向かったときでさえ、自ら穴を埋めに走ったほど。次の2級モラール峠では、フランス人の意図を理解して、もはや無駄な反応は見せなかったけれど。

実のところ、総合5位コンタドールは、体調不良でニーバリを追いかけるどころではなかった。一定テンポを刻み、他のアタックをできる限り封じ込めるために、チームメートのラファル・マイカにあえて前を引かせたほど。また総合3位バルベルデは、コンタドールの監視と、ナイロ・キンタナへの協力だけでなにやら手一杯だった。結局はニーバリとのタイム差を気にし、熱心にスピードアップを続けたのは、総合6位のロベルト・ヘーシンクだけだった。

むしろフルームにとって直接的な被害となりえる、そんな恐るべきアタックが、フルームの身を襲った。ラスト6km、キンタナが力強い加速を切ったのだ。

「フルームから最大限のタイム差を勝ち取るために、最高のタイミングを見極めてアタックした」(キンタナ、ミックスゾーンインタビューより)

単発では終わらなかった。何度でも、執拗に、ダンシングを繰り返した。その他大勢のライバルたちはもちろん、マイヨ・ジョーヌをついに振り払ってしまうまで、何度でも。望みどおり、フルームはついに、ライバルの加速についていけなくなった。この3週間で初めての現象だった。新人賞マイヨ・ブランを身にまとうコロンビア人は、最終的にフルームから32秒(実際のタイム差30秒+区間2位ボーナスタイム6秒−フルームの区間3位ボーナスタイム4秒)をもぎ取った。総合では2分38秒差へと、わずかながらも、詰め寄った。

「でも考えていたほどは、タイム差を縮められなかった。あとたった1日しか残っていない。さらに強くアタックするつもりだし、ステージ優勝もチームで狙っていきたい」(キンタナ、ミックスゾーンインタビューより)

「パニックには陥らなかった。なんのストレスも感じなかった。ただタイムトライアルモードに切り替えて、明日のために、あまりエネルギーを使いすぎないように気をつけつつ、かといってタイムもあまり失いすぎないように注意した。すでに十分なタイム差をつけていたから、落ち着いていたんだ」(フルーム、公式記者会見より)

むしろキンタナのアタックと、フルームのTTモードの影響をもろに食らったのは、バルベルデやコンタドールのほうだった。いずれも加速についていこうと無茶をして、それぞれに後退して行った。両者共にキンタナから1分42秒、フルームから1分12秒遅れでフィニッシュラインにたどり着いた。総合5位コンタドールはニーバリに総合順位を抜かれ、総合3位バルベルデはニーバリに1分19秒差に詰め寄られた。

2人の偉大なるベテランチャンピオンと同集団でゴールした若きバルデは、1日の終わりに、念願の赤玉ジャージを手に入れた。2位フルームとの差はわずか3pt。今年40周年を祝う山岳ジャージの最終保持者は、すると、翌日のアルプ・デュエズ最終決戦の結果を待たねばならないだろう。

「アルプ・デュエズの終わりが待ち遠しい」とフルームは語る。また伝説的な山を勝ち取ることは「夢」ではあるけれど、「あくまでもマイヨ・ジョーヌをパリまで持ち帰ることだけに集中する」とも宣言する。オランダで走り出した2015年ツール・ド・フランスは、シャンゼリゼ最終ステージの前に、オレンジ色に染まる「オランダカーブ」を経由する。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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