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サイクル ロードレース コラム 2015年7月26日

ツール・ド・フランス2015 第20ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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「ティボーが追いついてきたときに、今こそがその時だ、と感じた。急激過ぎるスピードアップを避けつつ、少しだけテンポを刻んだ。それから、彼はたったひとりで、山頂へと飛び出して行った」(ジェニエ、ゴール後TVインタビューより)

昨大会総合3位の25歳は、ゴール前6.5kmで2012年ジロ・デ・イタリア総合覇者を振り切ると、単独で群衆の中へと切り込んでいった。「サッカースタジアムよりすごい!」「鳥肌がたった」「危険なほどの人ごみだった」「でも、観客たちのものすごい声援に、背中を押された」とアルプ・デュエズならではの体験をたっぷり堪能し、ついには山頂で勝利の雄たけびを上げた。

「ひどく難しい大会だったけれど、良い形で締めくくることができた。とにかく今回のツールは毎日が闘争で、多くのことを学んだ。なによりポジティブな点は、自分のキャパシティが増えたと実感できたこと。僕のこの先のキャリアにおいて、今回のツールは、大切な分岐点となるだろう」(ピノ、公式記者会見より)

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それにしても、過去8回オランダ選手が勝利を手にしてきたことから「オランダ人の山」とも呼ばれるアルプ・デュエズだが、このところすっかり「フランス人の山」と化している。2011年ピエール・ローラン、2013年クリストフ・リブロン、2015年ティボー・ピノと3大会連続で、フランス選手が母国フランスに栄光をもたらした。

ただ、今回は、あわや「コロンビア人の山」となるところだった。アルプの登坂口に入ると、1度目とは逆の順番で、つまりキンタナの加速でモヴィスターは攻撃を再開した。企みが吸収されると、今度はバルベルデがアタック。さらには、それほど間をおかず、キンタナが再びペダルを強く踏み込んだ。総合2位と3位とはすぐさま合流した。特に大ベテランのバルベルデが、若きチームメートの逆転優勝の可能性にかけて、積極的に牽引作業を引き受けた。もちろん、この加速が、自らの総合3位の座の保守につながることも分かっていた。

少々皮肉なことに、ちょうど登坂口でキンタナが加速した時、ニーバリはパンクの犠牲にあった。前日マイヨ・ジョーヌのメカトラの最中にアタックを打ち、フルームから「アンチスポーツマンシップ」となじられながらも、区間勝利と総合4位の座を勝ち取った張本人だ!他人にした事は自分に返ってくると言うけれど……、このパンクのせいで、ニーバリはマイヨ・ジョーヌ集団から置いてけぼりにされた。アシスト3人が必死に引き上げたが、2度と追いつくことはできなかった。

またバルベルデとキンタナのタンデム加速が始まると、コンタドールがついていけなくなった。ジロ&ツールの同一年ダブル優勝を狙ってツールに乗り込んだはいいけれど、実際はジロでのアスタナとの激戦が予想以上に身体にダメージを与え、疲労が完全に癒しきれてはいなかったことを告白した。ニーバリとコンタドールは同時にフィニッシュラインへと姿を現した。総合トップ3からはとてつもなくタイムを失ったけれど、幸いなことに、それぞれに総合4位と5位の座は守りきった。

ついていけなかったのは、フルームも同じだった。追わなかったのではなく、追えなかった。アシストにさえ先を追わせなかった。ワウテル・ポエルスとリッチー・ポートという、2人の忠実なるアシストは、ただフルームの前を淡々と一定リズムで引き続けた。リーダーが脱落しない程度に、かといってキンタナに距離を開けられすぎてしまわぬように、慎重にコントロールに務めた。

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