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マイヨ・ジョーヌを着たまま大会を去ったトニー・マルティンの後を継ぎ、第7ステージで総合首位の座に踊り出た。その後1度たりとも、フルームが黄色いジャージを手放すことはなかった。総合2位とのタイム差は、第14ステージ終了時点で最大3分10秒まで開いた。しかしモヴィスターコンビの連日の猛攻に、アルプスでほんの少しだけタイムを落とし、最終的には1分12秒にまで差を縮められた。
そのナイロ・キンタナとアレハンドロ・バルベルデが、総合表彰台ではフルームの両脇に並んだ。25歳キンタナにとっては人生2度目のツール参戦で、2度目の総合2位&新人賞受賞。35歳バルベルデは8度目のツールにして、初めての総合表彰台乗りだった。いずれのチャンピオンも、子供たちと一緒に記念写真に収まった。表彰台のてっぺんで、フルームだけが一人ぼっちだったけれど……、今年の12月にはパパになる予定だから、来年こそは子連れ表彰台を狙っているに違いない!
また山岳賞3位ながら、1位フルーム、2位キンタナというわけで、思いがけず最終日に赤玉ジャージを着て走る権利を手に入れたロメン・バルデが、赤いゼッケンでおなじみのスーパー敢闘賞に選出された。4日連続の大逃げで4年連続のポイント賞ジャージをむしりとったペーター・サガンか、それとも連日の挑戦の果てについに第18ステージで独走勝利を上げたバルデか、と審判団の意見は大いに揺れたそうだけれど。
3週間前にオランダを走りだした198選手のうち、160人が無事に大きな輪を締めくくった。しかし大多数の選手たちにとって、ほっとしている時間などない。2015シーズンも後半戦に突入した。ほんの4週間後には、スペインにて、激戦が幕を開ける。
そうそう、このところ「ツールのリベンジ合戦」として、かなりの熱戦が激戦が繰り広げられることの多いブエルタ・ア・エスパーニャだけれど、今ツール総合4位のヴィンチェンツォ・ニーバリが早くも出場を宣言している。日本からは新城幸也も参戦予定。また眠れない夜がやってくる。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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