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7月最後の日曜日に、自転車乗りたちにとっての夏が、幕を閉じた。あんなに暑かった日々が嘘だったように、最終日のパリは、肌寒い空気に包まれた。
冷たい雨がシャンゼリゼの石畳を濡らし、色とりどりの傘や雨具が沿道を飾った。濡れた路面では、フランス語で「ヴェルグラ・デテ(夏の路面凍結)」と呼ばれる、アスファルトの油膜が染み出す現象が発生した。男子の到着前に行なわれた女子レース「ラ・クルス」では、大量の落車が発生した。
だからこそ最終日恒例のシャンパングラス片手の記念撮影タイムなどは、マイヨ・ジョーヌがうっかり滑って転んでしまうんじゃないかと、世界中のファンたちがひやひやしながら見守ったほど!
自転車レースというのは、本来は、いわゆる全天候型スポーツのはずである。ただしツール・ド・フランス最終日のシャンゼリゼ周回コースに限って、雨の場合の特別ルールが存在する。大会規則20条によると「最終周回コース突入前にシャンゼリゼの路面が滑りやすくなっている場合、第1回目のフィニッシュライン通過時にタイムを計測する」、「その場合でも、最終的なフィニッシュラインに変動はない。選手たちが全周回を完全に走った上で、ゴール順位を決定する」と規定されている。
2015年ツール・ド・フランスの時計は、第21ステージの41km地点で止められた。つまり全長3360kmのレースの、3291.5kmを走り終えた時点で、クリス・フルームの総合優勝が決定した。
「すごく厳しいツールだった。自転車に乗っている時も、自転車に乗っていない時も……。この3週間、難しい時を、幾度も過ごしてきた。だからこの地に、黄色でたどり着くことができて、本当に嬉しい」(フルーム、ゴール後TVインタビューより)
ストップウォッチの針が回転を止めても、選手たちのペダルは回り続けた。さすがに事故を恐れてか、世界で一番美しい大通りでの自己アピール合戦は、例年ほどは激しくはなかったかもしれない。それでも3周回目でアンドレー・グリブコやセバスティアン・シャヴァネルが前線に姿を表し、また4周回目からはフロリアン・ヴァション、ネルソン・オリヴェイラ、ケネス・ヴァンビルセンが小さなエスケープ集団を作り上げた。
周回が進むに連れて、灰色の雲の切れ間から、青い空が見えてきた。石畳のガタガタ道は乾き、隊列は速度を増していく。中でも、すでに区間3勝を手にしてきたアンドレ・グライペルを乗せたロット・ソウダル列車が、責任を持って追走を行った。最終週回で全てが封じ込まれた。
「みなさんご覧になったとおり、エスケープができた後、すぐに僕らのチームが主導権を握った。集団スプリントで締めくくるために、あらゆる仕事を僕らが行った」(グライペル、ゴール後TVインタビューより)
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