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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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「僕にとっては最初のビッグ勝利だ。スペシャルな気分だね。正直に言って、どんな感じなのか想像もできなかった。ワールドツアー大会で勝利を上げたことがなかったから、きっと難しいだろうなぁ……、って。でもチームは僕を信じ続けてくれたし、周りが自分のために100%を尽くしてくれているうちに、僕も自分のことを信じ始めていたんだ。他の若い自転車選手と同じように、夢はツールを戦うこと。いつかは、ツールで、マイヨ・ヴェールを着たい。今日の勝利が、その最初の一歩になってくれることを、願ってる」(ユワン、公式記者会見より)
もしかしたらデゲンコルブ(180cm、77kg)やサガン(183cm、73kg)よりも体が小さいから(165cm、61kg)、上りでパワーをフル稼働させる必要がないのも有利だったのかもしれない、と本人は分析する。また第3ステージでは、途中の1級峠で遅れ、ゴールスプリントには参戦できなかった。そのおかげで、もしかしたら、他の2人よりも体力を残していたのかもしれない、とも。とにかく2日前に区間を制し、前日はパンチャー群に混ざって激坂をよじ登ったサガンは、やはり体力的に限界を感じていたようだ。
「今日は勝てる脚がなかった。最高のポジションにつけていたのに。昨日のひどく難しいステージで、エネルギーを大いに使い果たしてしまったんだと思う。振り返ってみると、僕にはまるで向いていなかったのにね。今日はその報いを受けた」(サガン、チーム公式リリースより)
それでも区間3位に食い込み、ポイント賞ジャージはさらにしっかりと着込んだ。一方でデゲンコルブは2位に終わった。大いに働いたチームメートたちは、ちょっとした失意を抱いていた。
「今日の計画はデゲンコルブを勝たせること。僕の仕事はラスト2kmでチーム列車を牽引することだった。フィニッシュの喧騒の中でチームメートを見失ってからは、僕はただ、タイムを失わないためにスプリントした。チームバスへと向かいながら、ちょっとがっかりした気分だった。ステージ勝利が取れなかったからね。でも、突然、無線で、僕がマイヨ・ロホを取ったと聞かされた」(デュムラン、チーム公式リリースより)
最初は耳を疑ったという。プロトンはひとかたまりでゴールしたように思えたから。ただし軽い上りフィニッシュだったせいで、ところどころに、ほんの小さな分断が発生した。集団ゴールの場合、前方の選手とのわずか1mの切れ目が、大きなタイム差を引き起こす。区間4位と5位の間には2秒差、18位と19位の間には6秒差……。つまり区間15位のデュムランは、区間21位のチャベスから6秒を奪い取った。前日までの5秒遅れ総合2位から、1秒差で逆転首位に躍り出た!
「なんとなく複雑な気分だよ」(デュムラン、ゴール後TVインタビューより)
と告白したデュムランだったが、ツールのリベンジを、ブエルタで見事果たした。母国オランダ開催のツールでは、初日個人タイムトライアルでの優勝&マイヨ・ジョーヌを期待されながら、8秒差の4位に終わった。2日目には6秒差に詰めよるも、3日目に落車リタイアを余儀なくされた。
「回復には2週間を要したけれど、あの時、もっと強くなって帰ってこようと決めた。ハードに練習を積んで、トレーニングに集中してきた。調子は良かった。今日、リーダージャージを手に入れた。本当に嬉しいよ」(デュムラン、チーム公式リリースより)
念願をついにかなえたデュムランは、「出来る限りジャージを守りたい」と目標を口にする。翌日からは、いよいよ、ブエルタは山の色を刻していく。まずは2日連続の、山頂フィニッシュが待っている。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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