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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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カオスをかいくぐり、先頭集団に生き残ったのはほんの50人程度だった。ナセル・ブアニも、ペーター・サガンも、ジョン・デゲンコルブもいないスプリントを、ジャスパー・ストゥイヴェンが制した。エステバン・チャベスにとっても簡単な1日ではなかった。落車し、一時はメインプロトンから大きく遅れ、さらにラスト20kmはアシスト無しの状態でアタックの嵐をくぐり抜けた。勇敢に戦い、無事に6回目のマイヨ・ロホ表彰式を迎えた。
「ロードブックを見た限りでは、単なる『移動ステージ』のように思えたのに」(チャベス、ゴール後TVインタビューより)
いやいや、5年ぶりにブエルタに帰ってきた3級峠クレスタ・デル・ガリョの脅威を、多くの関係者たちが知っていたはずだ。なにしろ2001年のカルロス・サストレも、2009年のリーナス・ゲルデマンも、この山を単独先頭でダウンヒル中に落車し、勝機を失っているのだから。また2009年は下りアタックで逃げ切りが決まり、一方で2010年は下りで集団が追いつきスプリンターに勝利の女神が微笑んでいる。しかも、今年は、この面倒な山を2回も上り下りした!
スプリンターvsアタッカーの睨み合いは、スタートと同時に始まった。熾烈な飛び出し合戦を制して、ようやく35km過ぎに6人が逃げに乗った。後方では当然のように、ティンコフ・サクソとジャイアント・アルペシンがタイム差制御に乗り出した。エスケープも、メイン集団も、一息つく暇などなかった。道が下り基調だったこともあって、序盤2時間の走行スピードは時速49kmに達した!
最高4分半ほど開いたタイム差も、スプリンターチームの尽力のおかげで、2分ほどに縮まっていた。延々と続いた長い下りを抜け出し、フィニッシュまでは残り約50kmに迫った。そんな時だった。メイン集団内で、巨大な集団落車が発生した。
大量の選手がなぎ倒された。うち4人が、即時リタイアを余儀なくされた。ステージを取りに行く気まんまんだったナセル・ブアニは、ツール第5ステージの落車リタイアに続いて、志半ばで戦場を去った。同じく7月の第17ステージで、総合3位のまま涙のリタイアをしたティージェイ・ ヴァンガーデレンは、右肩骨折で、痛いシーズンの幕切れを迎えた。そしてこの朝、総合3位として走りだしたダニエル・マーティンは、病院でブエルタを終えた。
そして、不幸にも「落車の起点」とみられるクリス・ボックマンスは(水を飲んでいる最中に、アスファルトの穴にはまり、そのまま地面に激しく叩き落とされた)、一時意識を失うほど頭部に強い衝撃を受けた。チーム公式HPによると、脳の損傷、顔面骨折、肋骨3本骨折、さらに肺に出血が見られるとのこと。意識は一旦回復したものの、その後、人工的な昏睡状態に置かれている。
マイヨ・ロホのチャベスもまた、地面に投げ出された1人だった。幸いにも小さな擦り傷だけで、落車現場を抜けだすことができた。チームメートたちの献身で、メイン集団にも無事に復帰を果たした。ただし、体力を大いに使ったアシストたちは、終盤20kmの攻防に耐える脚を残していなかったのだけれど……。
落車などお構いなしに、ティンコフ・サクソは突進を続けた。なにしろエスケープの残党を、早めに片付けてしまわねばならない。もちろん、逃げ選手もタダでは引き下がらなかった。クレスタ・デル・ガリョへの1度目の上りで、アレックス・ハウズが最後の賭けに出た。単独で飛び出し、下りへと勢いよく飛び込むも、しかし、「先例」にならって下りの第1カーブで自滅してしまった!続いてアンヘル・マドラソルイスが、逃げ距離を引き伸ばしにかかったはいいけれど、やはり下り坂の途中で吸収された。集団は一つになった。
2度目の上りでは、ジャイアント・アルペシンが制御に動いた。スカイやモヴィスターが猛烈な加速に乗り出し、次々とアタックがかかると、総合2位のトム・デュムランが集団先頭に蓋をした。さらにはチームのスプリントリーダーのために、早目の一定リズムを刻んだ。
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