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サイクル ロードレース コラム 2015年9月1日

【ブエルタ・ア・エスパーニャ2015】第10ステージレースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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エスケープは3度、企てられた。3度共に、ジャイアント・アルペシンが、責任を持って逃げを潰した。トム・デュムランのマイヨ・ロホを守るために。なにより、プロトンに唯一残る「強豪」スプリンターのジョン・デゲンコルブに、今大会初めての栄光をもたらすために。しかし、ドイツ人スプリンターには、あとひと押しが足りなかった。60人ほどの集団スプリントを制したのは、クリスティアン・ズバラーリだった。幸いにもオランダ人総合リーダーは、赤いジャージで休養日を過ごす権利を手に入れた。総合トップ10に変動はなかった。

アタックでにぎわった1日だった。大きな波は3つ押し寄せた。まずはスタート直後に待ち構えた3級峠へ向かって、なんと、40人もの大人数が逃げ出した。今大会参加の全22チームが、最低でも1人ずつ、前方へと選手を送り込んだ。ただし、総合でわずか3分13秒遅れのセルジオルイス・エナオモントーヤが潜り込んでいたせいか、メイン集団は決して大きなリードを許そうとはしなかった。規模が大きすぎたのもまた、統率を欠く結果となった。いつしかエスケープは分裂し、後方から少しずつ脱落していき……、ゴール前56kmで完全に逃げは回収された。

第2波は、ゴール前50kmにやってきた。エティクス・クイックステップやティンコフ・サクソが仕掛け、そこからオランダチャンピオンのニキ・テルプストラが単独で飛び出した。普段は「最終発射台」を務めるミカエル・ドラージュ(アルノー・クーテル)やジョフレ・スープ(ナセル・ブアニ)も、リーダーのいないスペインの大地で、自らのチャンスに打って出た。しかし、抜け駆けは、決して許されなかった。最後まで粘った2014年パリ〜ルーベ覇者も、2015年版「北の地獄」王者のデゲンコルブが睨みをきかせるプロトンに、ラスト35kmで静かに飲み込まれた。

ゴール前17kmにそびえ立つ2級峠だけが、スプリンターにとっては鬼門だった。モヴィスターやアスタナは速いリズムを刻み、アタッカーたちは3度目の揺さぶりをかけた。アレッサンドロ・デマルキが飛び出した。3月に足首を痛め、7月にようやくレース復帰を果たしたばかりの2014年ツールスーパー敢闘賞は、好感触を確かめるように先を急いだ。ロメン・シカールが後に続いた。ケニー・エリッソンドも2人に合流した。

3人は、このブエルタに、幸せな記憶を抱いていた。生まれて初めてのグランツール区間勝利を、デマルキは、ここスペインでの大逃げで手にいれた。シカールは、昨ブエルタを総合13位と納得の成績で締めくくった。小さなヒルクライマー、エリッソンドは、2年前の晩夏に、「自転車界最難関」との呼び声高いアングリルを逃げ切りで制した。一方で、背後から追いかけてきたジャンルーカ・ブランビッラにとっては、もしかしたら、ブエルタは少し苦い思い出かもしれない。2014年大会の第16ステージ、エスケープ中に、共に逃げていたイヴァン・ロヴニーと殴り合いの喧嘩をして、大会を追放処分になってしまったのだから!

残念ながら、この日のスペインは、エスケープの努力に報いてはくれなかった。また1度目の逃げにカルロス・ベロナを(敢闘賞受賞)、2度目の逃げにはテルプストラを送り込み、なんとか勝機を引き寄せようと画策したエティクス・クイックステップの意欲も、まるで実を結ばなかった。

上りでは赤ジャージ姿のデュムラン自らが牽引作業を行い、下りではルカ・メツゲッツとクーン・デコルトが、スプリントリーダーのために距離を縮めにかかった。ジャイアント隊列の手によって、ラスト4.5km、あらゆる逃げに終止符が打たれた。その後の小さな謀反も、マイヨ・ロホが睨みを効かせたおかげで、ことごとく鎮められた。休養日前日のフィニッシュは、ジャイアントの望み通りに、集団スプリントへと雪崩れ込んだ。

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