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サイクル ロードレース コラム 2015年9月3日

【ブエルタ・ア・エスパーニャ2015】第11ステージレースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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5月のイタリアを大いにかき回したアスタナが、スペインでも最前線で猛威をふるった。ジロ総合3位のミケル・ランダが「近年のグランツール最難関」との呼び声高いステージを勝ち取り、ジロ総合2位のファビオ・アルが、鮮やかに総合首位に踊りでた。一方で7月のフランスを彩った者たちは、大会1度目の休養日の翌日、それぞれに失望を味わった。マイヨ・ジョーヌのクリス・フルームは、スタート直後の落車の影響で、タイムを大幅に失った。シャンゼリゼの表彰台で両脇に立ったモヴィスターの2人も、最終峠で大いに苦しんだ。

怪物ようなステージだった。138kmという短距離に、難関峠が6つ、ぎゅうぎゅうに詰め込まれていた。しかも獲得標高は約5000mにも達した!アンドラに住むホアキン・ロドリゲスが、開催委員会の依頼によって、この日のコースを特別に描き上げたという。大好きなトレーニングルートで、しかし、「プリト」は真価を十分に発揮できなかった。フルームは「自分がこれまで走ってきたグランツールのステージの中で、きっと、最も難しいものになるだろう」と、休養日に語っていた。予言は、ある意味、的中した。

スタートからほんの2.5kmほど走った地点だった。ツール覇者が地面に転がり落ちた。激しい飛び出し合戦の最中だったから、プロトンは決して脱落者を待ってなどくれなかった。アシストたちが懸命にリーダーを引き上げた。1つ目の山(1級)は、上りも下りも、必死の追走を続けた。2つ目の山の中腹まできて、ようやく、フルームはメイン集団へと復帰を果たした。

19人の逃げ集団も、やはり2つ目の山の上りで出来上がった。エスケープに滑り込んだ目的は各々違った。たとえばロメン・シカールは区間勝利を狙いつつ、総合順位を上げるために。たとえば青玉ジャージをまとうオマール・フライレは、6つの峠を利用して山岳ポイントを大量収集するために。ちなみに、シカールは最終盤まで奮闘を続けたおかげで、総合順位を18位から12位へとジャンプアップさせた。またフライレは先頭通過2峠+2位通過2峠を成功させ、山岳ポイントを計37ptかき集めた。堂々と山岳賞首位を守りきり、2位以下に30pt差をつけたから、少なくともあと3日間(第14ステージのゴール地まで)はジャージを満喫できることになった。

またモヴィスターの2人やカチューシャ、スカイ、ティンコフ・サクソ、AG2R等の総合上位のリーダーを抱えるチームは、「何かあった時のために」、選手を前方へと送り込んでいた。(ステージ開始時点で)総合5位のアルを有するアスタナからも、ランダが飛び出していた。ただし序盤10日間でタイムを26分以上も失い、総合争いの望みをすでに失っていたスペイン人ヒルクライマーは、チームメートのためではなく、自らのために走っていた。

「今日は自由に行こう、飛び出そう、と決めていた。僕にはこんな勝利が必要だったし、今日は自分にチャンスがあると分かっていた」(ランダ、ゴール後TVインタビューより)

「今朝のミーティングで、ランダは勝ちに行きたいと話していた。後方では出来る限り、厳しいレースを展開するつもりだった」(アル、公式記者会見より)

前でも、後ろでも、アスタナは威力を発揮した。3つ目の上りに入ると、後方のメイン集団では、一旦はスカイが制御権をつかみとる。体を痛めたフルームのために、速すぎもせず、遅すぎもしない、適度なリズムを刻み続けた。ランダにとっては、幸いだった。おかげで逃げ集団は、5分半ものリードを許されることになったから。一方でのこぎりの歯のように連なる峠群も、4つ目の上りに差し掛かると、いよいよアスタナがプロトンの主導権を奪い去った。ブエルタに乗り込んできた9人中、2人がすでに大会を去り——ヴィンチェンツォ・ニーバリは失格で、パオロ・ティラロンゴは負傷リタイア——、エスケープにも1人送り込んでいたというのに……、4人で猛烈な列車を走らせた!

水色の猛攻に、傷ついたフルームは、すぐに耐えられなくなった。前線からずるずると後退していった。休養日前日の段階で総合8位・1分18秒につけていたフルームだけでなく、総合4位・1分07秒差のニコラス・ロッシュさえも、高速テンポについていけなくなった。

ライバルたちは、もちろん、黙ってアスタナの好きなようにやらせていたわけではない。前方では、シカールやネルソン・オリヴェイラが、何度も先制攻撃を仕掛けた。後方ではロドリゲス&バルベルデが、超級下りでアタックに転じた。それぞれのリーダーのために、アルベルト・ロサダとイマノル・エルビーティが逃げ集団から降りてきたし、プリトの右腕ダニエル・モレノも追い付いてきた。スペイン人リーダーを支える2つのチームが協力しあって、先を急いだ。一時はアスタナ隊列を完全に振り払った。

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