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父も兄も自転車選手のファンポッペルと同じく、父も弟も自転車選手だったシュレクは、「あのパンクで、逆に変なプレッシャーが抜け去ったのかもね」(ゴール後TVインタビューより)と語ったが、しかし、この時点では、いまだ逃げ吸収さえ確実ではなかった。ゴールまで5kmで、差は30秒。もはやトレックやランプレは牽引を打ち切り、残されたジャイアントのアシストが、1人で孤独に奮闘を続けているだけだった。
幸いだったのは、その後、BMCやロットNL・ユンボが最後のひと押しに参加してくれたこと。また、残り3kmで、グランツール初参加のグジャールが我慢しきれずにアタックを打ってしまったことも、エスケープの分裂を招いた。それまで一致団結して、先頭交代を続けてきたのに……。
「それから、ヴェンターがラスト1kmでアタックを仕掛けた。目印代わりに、少し彼を先に走らせておいてから、彼をとらえて前へ出た。後ろは振り返らなかった。プロトンに飲み込まれつつあるような感覚を覚えた。それでも、全力を尽くした」(ブエ、チーム公式HPより)
ほんの、300mほど、逃げ集団には足りなかった。プロトンは恐ろしい勢いで5人を巻き込むと、そのままフィニッシュラインへと突き進んでいった。もはや「列車」と呼べる整然とした隊列など、存在しなかった。混乱を一番に抜けだしたのは、ファンポッペル家の弟だった。胸のチームロゴを誇らしげに指差し、何度もガッツポーズを握りしめた。
「第1週目は調子が良くなかったし、暑さに苦しめられて、チャンスを逃してきた。だからちょっと自分に腹を立てていたんだ。今日は再びチャンスが巡ってくると分かっていた。だから責任を引き受けた。それにチームが1日中、僕のために牽引し続けてくれたことで、モチベーションがものすごく上がった。本当に、スペシャルだったよ」(ファンポッペル、チーム公式リリースより)
ダニーの父ジャンポールは、ツール・ド・フランス区間9勝&マイヨ・ヴェール1回、ブエルタ・ア・エスパーニャ区間9勝、ジロ・デ・イタリア区間4勝の名スプリンターだった。ちなみに父の初勝利は23歳(1986年ジロ)の時だったから……、22歳でグランツール初勝利を引き寄せた息子もまた、この先、輝かしいキャリアを積み重ねていくのかもしれない。
一方のデゲンコルブは、抜け出すスペースを見つけられず、トップスピードに乗る間もなく封じ込められた。3位、2位、2位と来て、4度目のスプリントフィニッシュを5位で終えた。昨大会で4ステージをもぎ取った強者にとって、次の完璧なるスプリント機会は、最終日マドリードまでお預けとなる。
もちろん、本気で取りに行くつもりなら、第13ステージの3つの山くらいデゲンコルブに越えられないこともなさそうだけれど……。やはり前評判通りに、今大会3度目の、エスケープによる逃げ切りが決まる確率のほうが高そうだ。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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