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7つ目の、この日最後の上りの入り口で、ほんの少しだけ、トレスの数メートル後ろを走ったこともあった。もしかして、相手の実力を、正確に見極めるためだったのかもしれない。逆にゴール前3.3km、21.67%という激勾配を利用して、シュレクは一気に走行リズムを上げた。そして最難関ゾーンを抜けた直後に、ついに、残す1人も力尽きた。フランクは独走態勢に入った。
「ずいぶんと久しぶりの勝利だね。長くて辛い1日だった。でも調子は良かった。でも、上手くやるためにしっかりと自分自身を律してきたし、このためにハードに練習もしてきた。僕はこの勝利に値すると思うよ」(シュレク、公式記者会見より)
弟アンディは、ブエルタ未勝利のまま、昨季プロ生活を終えている。なにかと才能を比べられることの多かった兄弟だけれど、兄フランクは、少なくとも、ブエルタで区間1勝を手に入れたことになる。ちなみに、父親のジョニーもまた、1970年大会で1区間勝利している。
ステージ中盤からカチューシャが制御し、終盤はティンコフ・サクソが牽引に勤しんだメイン集団は、10分半近く遅れて最終峠に飛び込んだ。山道が始まると、マイヨ・ロホ擁するアスタナがテンポを刻み、パヴェル・ポランスキーが先に立って、ラファル・マイカのために猛烈なスピードアップを試みた。ブエルタ初登場のエルミタ・デ・アルバは、地元記者が「ミニ・アングリル」とびっくりしたほど厳しかった。道幅のひどく細い激坂で、多くの有力選手が願ったのは、「トム・デュムランをできる限り引き離すこと」。
しかし、オランダのタイムトライアルスペシャリストが、集団前方にしっかりと控えていた一方で、肝心のヒルクライマーのアルのほうが……メイン集団後方で苦しそうに走っていた。
「僕は調子が良かった。脚は非常によく動いた」(デュムラン、チーム公式HPより)
「難しい上りだった。上り序盤は、ついていくことが難しいほどだった」(アル、ゴール後インタビューより)
アルの苦しみを知りつつも、チームメートのミケル・ランダは、集団先頭で一定のテンポを刻みつづけた。アンドラの今ブエルタ女王ステージを制したバスク人は、マイヨ・ロホが脱落しないギリギリの速度を、知っていたのだろうか?真っ先に落ちたのは、アルでも、デュムランでもなかった。ゴール前2.5kmでは(前ステージ終了時点で)総合8位アレハンドロ・バルベルデが、ラスト2kmで総合5位エステバン・チャベスが、さらに残り1.6kmでは総合6位ダニエル・モレノが、じわじわと後退して行った。
しかも、ラスト1.5kmでデュムランは一度遅れをとるも、自力でライバルたちの元まで立ち戻る、そんな執念深さも発揮した。最終的にはゴールまで900mまで、なんとかマイヨ・ロホ集団にしがみついた。
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