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「ハードだった。実際に、最初のアタックは、かなり強烈だったね」(デュムラン、公式記者会見より)
ダンシングで弾けるように飛び出したアルの後輪に、シッティングでデュムランは貼りついた。まさしく「ぴたり」という表現が相応しいほどに。
「勾配がそれほどきつくなかったからね。たとえ、もっと勾配がきつかったとしても……、僕にはいい脚があったんだけど。とにかく、僕は決して崩されなかったし、何の問題も抱えなかった」(デュムラン、公式記者会見より)
アルは少なくとも、4回のアタックを仕掛けた。前日のタイムトライアルの好走で、総合6位に浮上したアレハンドロ・バルベルデもまた、幾度となく攻撃に転じた。総合4位ラファル・マイカや総合7位エステバン・チャベス、総合9位ミケル・ニエベも突撃を試みた。1級峠からの下りでは、総合5位ナイロ・キンタナも、まさかのダウンヒル特攻に打って出た。しかし、デュムランがアルを決して逃がさなかったように、例えばアルはバルベルデやマイカを逃がそうとはしなかったし、ロドリゲスやキンタナはチャベスを決して逃がさなかった。
「僕自身だって、ラスト4kmでアタックしたほどだ。アルがエネルギーをかなり消耗したことを見て取った。だから、ダニエル・モレノが動いた時に、カウンターアタックを仕掛けてみた」(デュムラン、公式記者会見より)
モレノ、バルベルデ、チャベスが間髪おかずについて来たのを見て、デュムランは自らスピードを緩めた。その後も小さな企てが途切れることはなかったけれど、最終的には18人による「区間4位争い」のスプリントで締めくくられた。マイヨ・ロホのトム・デュムランは、ただ集団内で静かにステージを終えるだけでよかった。
「精神的にはきつかったよ。あっさり脱落したほうが、よっぽど精神的には楽だっただろうね。でも、調子が良かったし、自分がアルについていけることも分かってた。だからレッドジャージを守るために、すべてを尽くした。それに今日、何の問題もなく終えられたことで、この先への自信が増した」(デュムラン、公式記者会見より)
ちなみに小集団スプリントは、バルベルデが制した。いまだに「表彰台を諦めない」と宣言する35歳だが、ポイント賞による表彰台ならば可能かもしれない。2012年と2013年にすでに緑ジャージを勝ち取った俊足は、現時点では首位ロドリゲスをわずか2pt差で追いかけている。またオマール・フライレの山岳賞が、マドリードまで3日を残して、早くも確定した。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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