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サイクル ロードレース コラム 2015年10月8日

【パリ〜トゥール/プレビュー】日本開催レースを前に、伝統的なワンデークラシックに新城&別府が挑む!

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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2015年の欧州の自転車シーズンも、いよいよ終わりの時を迎える。幕を引くのは、今年こそ、華やかな大集団フィニッシュだろうか。それとも、最終盤の起伏を利用して、パンチャーが飛び出す?もしかしたら、またしても、1年前のような衝撃的な逃げ切り勝利が決まるのかもしれない。

パリ〜ルーベと並んで、史上3番目に古いワンデークラシック、それが1896年に誕生したパリ〜トゥールである。このレースを語る時に、必ず使われる逸話がある。「5大モニュメントを全て制した史上最強の自転車選手エディ・メルクスが、唯一勝てなかったビッグクラシック」というものだ。理由は、チームのスプリンターを勝たせるために、エディ自らが列車を牽引していたから……らしい。

つまり、それほどまでに、パリ〜トゥールは「スプリンターズ・クラシック」なのだ。21世紀に入ってからも、エリック・ツァベル、オスカル・フレイレ、アレッサンドロ・ペタッキという史上屈指のスプリンターが栄光を手にしてきたし、2013年はジョン・デゲンコルブが60人ほどの集団ゴールを制した。

その一方では、ワンデークラシックとしては極めて珍しいことに、しょっちゅう「大逃げ」が決まるレースであったりもする。コース序盤部分は、たしかに、ほぼ完全に平坦だ。しかしボース平原には、いつだって強風が吹き付けている。そのせいで、シーズン末で疲れ果てたプロトンが、追走をミスしてしまうこともあるのだ!こうして2001年にはリシャール・ヴィランクが、242kmのエスケープの果てに単独フィニシュを成功させた。2004年エリック・デッケルや2006年フレデリック・ゲドンも、スタート直後からの逃げを勝利に結びつけた。去年のサプライズ勝者、イェーレ・ワライスだって、スタートから4km地点で逃げ出したのだ。

ただし、近年の主流は、やはり最終盤に登場する3つの小さな起伏を利用した「アタックと駆け引き」だろう。今年も全長231kmのコースの、フィニッシュから28km地点に「ヘアピンカーブたっぷり」のコート・ド・クロシュ、9.5km地点に「上りも下りも道幅の狭い」コート・ド・ボーソレイユ。さらに畳み掛けるように遅いかかる7km地点のコート・ド・レパンでは、下り切った先にひどく危険な急カーブが待ち構えている。

いずれも、パンチャーたちにとっては、スプリンター隊列をかき乱し、前線へと飛び出すにはうってつけの要所となる。それでも、アルデンヌクラシックのような勾配の厳しさはなく……、スプリンターたちだって、ぎゅっと歯を食いしばれば、どうにかしがみつける坂道だ。そのせいで、アタックとカウンターアタック、加速と追走が、めまぐるしく繰り広げられる。最終盤のスピード感溢れる攻撃合戦は、ファンたちに、シーズン最後の興奮を与えてくれるはずだ!

もちろん、クライマックスは、伝統のフィニッシュ地グラモン大通り。全長800mの、トゥール中心地に引かれたこの道は、とにかく真っ直ぐで、ずっと後ろまで見渡すことができる。だから集団スプリントであろうが、ぎりぎりの逃げ切りだろうが、フィニッシュのシーンは極めて壮観だ。

ちなみに開催委員会の予想するシナリオは、ずばり、ナセル・ブアニvsアルノー・デマールのフレンチスプリント勝負。そこに各国の好スプリンター、たとえばやゲラルド・チオレック、マッテーオ・ペルッキ、ジャコモ・ニッツォーロ、イェンス・デビュッシェール、ハインリッヒ・ハウッスラーなどが絡んでくる。そんな前評判をひっくり返そうと目論むのが、グレッグ・ヴァンアーヴェルマートにトニー・ギャロパン、ニキ・テルプストラ、マルコ・マルカート。今年のブエルタで区間勝利を上げたダニー・ファンポッペルとアレクシー・グジャールの2人も、それぞれ、スプリント派とアタック派の若手代表として活躍が期待される。

ファンポッペルやニッツォーロを大集団スプリントに導くため、大いに仕事をする別府史之や、アタック合戦に果敢に反応する新城幸也の姿も見られるに違いない。特に新城は、2010年の大集団スプリントで5位に入っており、相性の良いレースだ。そして、2人の日本選手は、パリ〜トゥールで欧州転戦を終えると……、日本へと飛ぶ。彼らにとって、シーズンはいまだ終わりではない。祖国のファンたちの前で走る、ジャパンカップとさいたまクリテリウムが待っている!

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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