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サイクル ロードレース コラム 2016年4月5日

【ツール・デ・フランドル/レビュー】連続した集団クラッシュ、激坂を乗り越えてサガンが初のモニュメント勝利

サイクルロードレースレポート by 寺尾 真紀
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その後方ではカンチェッラーラがスプリントに入りかけるが、ヴァンマルケはその素振りを見せない。振り返って確認するカンチェラーラに、ヴァンマルケはいいのだ、というように笑顔を見せる。サガンに遅れること、24秒。カンチェッラーラは観客に手を振りながら、これまで3回制したフランドルを2位で走り終えた。

4位集団のスプリントは、前年のフランドル覇者、アレクサンドル・クリストフ(カチューシャ)が制した。5位にはスカイのルーク・ロウが入り、序盤の逃げのメンバーから、エルビーティが7位に入賞している。

選手コメントなど

ペーター・サガン(ティンコフ)
『またもうひとつ大きな勝利をあげることができた。一つ目は世界選だったけれど、今度はまたスペシャルだ。レインボー・ジャージを身に着けて、フランドルを勝ったんだから。シーズンが始まる前から、フランドル、ルーベが目標にしていた。本当にうれしいよ。(中略)それと同時に、先週亡くなった二人の選手のことも考えなくてはいけない。本当に悲しい出来事だった。この勝利を彼らと、そして練習中の事故で負傷した(チームメートの)マチェイ・ボドナールに捧げたいと思う。彼が早く回復してレースに復帰できますように』
『クヴィアトコウスキーは、絶妙のタイミングでアタックをかけた。確かにタイミングは早めだったかもしれないけれど、集団では誰もが疲れてきていたし、そこにはスカイの選手が4〜5人いた。だから、スカイの選手と逃げるのは、いいことだったんだ。(中略)とにかくとても不思議なレースだった。これまでに6回フランドルを走ったけれど、ここまでハードなのは初めてだ。最初から最後までフルパワーだった。誰が何を考えてこうなったのかはわからないけれど、とにかくちょっとでも休めたのは、レースを通して10分あるかないかだった』
『ファビアン(・カンチェッラーラ)も好調だったけれど、ちょっとしたミスを犯したんだ。我々(クヴィアトコウスキー、サガン、ヴァンマルケ)の逃げに加わらなかった。反対にそれが、ぼくにとっては良かったけれど。(オウデ・)クワレモントでもパテルベルグでも、タイム差を保つことができた。自分がフルパワーで行けば、彼もそうせざるを得ない。けれど、彼はヴァンマルケのことも考えなくてはいけない。ゴールがスプリント勝負になることを考えて、追走する彼らが少し力をセーブしてくれることを願っていた。そして、実際にその通りになっているようだった。最初は差が少し縮まったけれど、また広げることができた。残り2〜3kmでは、もう大丈夫そうだ、と感じていた』

ファビアン・カンチェッラーラ(トレック・セガフレード)
『…いくら考えてみても、2着は1番ではない。そして、2位はヒストリー(歴史)ではない…。朝からいろいろな感情が湧き起こっていたけれど、今もまだそうだ。いろいろなトラブルがあったのに、2位に入ったのだから、決して悪くはない。一晩眠って目が覚めたら、うれしい、という気持ちが湧いてくるかもしれない。けれど、ぼくは歴史を作りたかったんだ』
『クヴィアトコウスキーとサガンが飛び出し、セプ(・ヴァンマルケ)が追ったとき、ほんの1秒の決断を逃してしまった。あれが早すぎるアタックだったとは言えない。ペーターはそこでのアタックから、勝利をものにしてみせたのだから。とにかくセプに追いつき、力を合わせようと声をかけた。まだ諦めるつもりはなかった。ペーターがゴールまで同じペースを保つことはできない可能性に賭けていたんだ。けれど、ペーターの力が勝っていた。あの一秒は、悔やむべき一秒だったかもしれない。でも、レースに言い訳はないんだ。セプと自分は、ペーターを捉えることができなかった。今日、誰よりも強かったのはペーターだ。(最後の一言として)フランドル、ありがとう』

セプ・ヴァンマルケ(ロットNL・ユンボ)
『サガンとクヴィアトコウスキーのアタックは、(E3)ハレルベケのときとそっくりだった。あのレースでも、二人が1番強いライダーだったし、同じように加速していったんだ。だから、いまここで離されたら終わりだ、と自分に言って聞かせた。限界の力で、なんとかその後輪に追いつかなくちゃいけない。これが勝敗を分ける瞬間だ、ということは嗅ぎ分けていた。後ろの集団は、(追うか追わないか)ためらっている様子だったから、ぼくにとってはチャンスだった。オウデ・クワレモントでは、苦しみながらも何とかサガンについていけた。けれど、パテルベルグの一番急なところでダンシングをしようとしたら、ついに脚がつってしまった』

ミカル・クヴィアトコウスキー(チームスカイ)
『フランドルでの勝利は、もっとも美しい勝利のひとつだと言える。また必ずここにきて勝ちを競いたいよ。今日は脚がなかったのががっかりだけど…。(中略)サガンとカンチェッラーラが加速したタイエンベルグで、自分がもう100%じゃないことがわかっていた。クワレモントまで行けば、カンチェッラーラが最強だ。そこから独走態勢に入るところをこれまで何度も見てきた。だから、クワレモントの前で仕掛けようと考えたんだ。いいタイミングで動けた。けれど、そこで終わりだった。ペーター(・サガン)にも、ファビアン(・カンチェッラーラ)にもついていけなかった。今日の脚では、これが最大限だった。自分の調子がベストの日だったら、と思うよ! でもライバルの力のほうが今日は勝っていたんだ。これがスポーツさ』

イマノル・エルビーティ(モビスター) 【7位入賞】
『…今の気分? へとへとだよ(笑) こんなに大勢の観客の前で、先頭になってミュール(壁)を越えていくなんて、夢のような気分だった。ぼくたちのグループに追いついてきたサガン、クヴィアトコウスキー、ヴァンマルケには、できるところまではついていったけれど、そのあとは自分のペースで、スマートに走るしかなかった。そこまででたくさんの力を使ってしまっていたから、トップ10でレースを終えられるなんて思わなかった。フランドルでは、戦いの相手は後ろからやってくるんだ。それもすごい勢いで。(最後の上りの)パテルベルグを越えたあと、(アレクサンドル・)クリストフの集団に追いつかれた。脚の痙攣がひどくて、ペダルさえ満足に回せない状態だったけれど、望みは捨てなかった。スプリントでは最後の力を振り絞ったよ!』

スティン・ヴァンデンベルフ(エティックス・クイックステップ)
『もっとも強い3人が、集団を引き離していった。(オウデ・)クワレモントの前に、アタックにパーフェクトなタイミングが確かにあった。けれど、そこでアタックできるような脚がなかった。逃げも隠れもできないレースだから…。チームとしてはいいレースをしたと思う。残念だけれどほんの数%が足りなかった。単純に、今の時点で、我々よりも力のある選手が3〜4人いる、ということ。それを受け入れなくてはならない」

ディミトリ・クレイス(ワンティ・グループゴベール) 【9位入賞】
『アントアーヌ(・デモアティエ)とダーン(・ミングヘール)のために、何かをしたいという気持ちでいっぱいだった。序盤の逃げには入れなかったけれど、レース終盤にその埋め合わせはできた気がする。ペーター・サガンとセプ・ヴァンマルケは強すぎてついていくことはできなかったけれど、少しでも順位を上げるために、できる限りのスプリントをしたいと思ったんだ」

代替画像

寺尾 真紀

東京生まれ。オックスフォード大学クライストチャーチ・カレッジ卒業。実験心理学専攻。デンマーク大使館在籍中、2010年春のティレーノ・アドリアティコからロードレースの取材をスタートした。ツールはこれまで5回取材を行っている。UCI選手代理人資格保持。趣味は読書。Twitter @makiterao

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