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サイクル ロードレース コラム 2016年4月21日

【リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ/プレビュー】
今年で102回大会を迎える格式高い名誉あるレース。寒波到来の予報、悪条件を突き破る真の強者が決まる!

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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春のクラシックシーズンが、アルデンヌ3部作が、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュで幕を閉じる。1892年に走りだした史上最古のクラシック「ラ・ドワイエンヌ=最古参」は、若草の萌える美しき丘陵地帯を舞台に繰り広げられる。……はずなのだけれど、2016年大会は、もしかしたら白い風景がお目にかかれるかもしれない。

週の大半は暖かな晴天に恵まれたベルギーだが、王立気象台の予報によると、週末に季節外れの寒波が欧州北部に襲いかかる。リエージュ一帯も悪天候や低温から逃れることはできない。それどころか、週の真ん中の時点では、「日曜日は大雪になるでしょう」との警報が出された。つまり1980年春、激しく降り続く雪の中でベルナール・イノーが大会を制して以来の、「ネージュ〜バストーニュ〜ネージュ」(ネージュとはフランス語で雪の意)が繰り広げられるのかもしれない。あの年のイノーは、ゴールまで80kmで単独アタックを打ち、2位以下に9分以上ものタイム差をつけて勝利をつかみとった。栄光の代償として、手指数本の感覚を永遠に失ったと言われている。出走者は174名、完走は21名だった。

ただし今シーズン、UCI国際自転車競技連合は、「極度の気象条件に関する要項」を定めた。それによると「車道に積もった雪」や(降雪による)「視界の悪さ」などは、もちろん「極度の気象条件」に該当する。週末の天候・道路状況によっては、スタート&ゴール地変更から、コース変更、さらにはレース自体の中止まで、なんらかの決定が下される可能性がある。

もしも無事にレースが開催された場合、大筋はクラシカルなコースをたどる。全25チーム・最大200選手で構成されたプロトンは、リエージュの君主司教宮殿前でスタートを切ると、一路南へ。バストーニュまでたどり着いたら、折り返して、北へ方向転換。後半戦で数々の難坂を乗り越えて、リエージュ郊外のアンスでフィニッシュする。全長253kmのコース上に待ち構える坂道は全部で10カ所。つまり昨大会と難所の数は同じ。ところが、坂道リストをよくよくチェックしてみると、コル・ド・ストクーの名前がない!上りは最大勾配17%と難しく、てっぺんには「史上最強の自転車選手」エディ・メルクスの記念碑が待ち構え、しかも下りが細すぎて怖い……というリエージュ屈指の伝統坂である。残念ながら現在は道路工事のため、通行止め。一回お休みだ。

それでも前後のワンヌ(168km地点)とオート・ルヴェ(179km)はルートにきっちり組み込まれているから、この辺りから戦いは激化していくはずだ。優勝へ向けた攻撃合戦が本格派するのは、やはりラ・ルドゥット(216.5地点、登坂距離2km、平均勾配8.9%、最大22%)だろうか。続くラ・ロシュ・オ・フォーコン(232.5km地点、距離1.3km、平均11%、最大16%)が、近頃は最大の勝負どころ。2008年にコースに新たに組み込まれるようになって以来、2009年にアンディ・シュレクが、2011年にはフィリップ・ジルベールが勝利へつながる飛び出しを決めた。2012年にはヴィンチェンツォ・ニバリが果敢なる独走を始めたことも(ゴール前1kmで追い越されたが)。

一方で過去2年は、アタック不作の年であった。2014年は25人近く、昨年も20人近くがラスト1kmまで混在し、勝負はスプリントにもつれ込んだ。ゴール直前のサン・ニコラ(246.5km地点、距離1.2km、平均8.6%、最大13%)も、そしてフィニッシュラインへと続く上り坂も、集団を小さくはしてくれなかった。

だから2016年4月、そんな嘆かわしい状況を打破すべく、開催委員会はゴール前2.5kmに新たな坂を組み込んだ。「マンネリから抜け出すために、ちょっとした『手術』が必要だと考えた。ファイナルにスパイスを、ね」とコース作成を手がけたジャンミシェル・モナンが語ったように、サン・ニコラから下りきった直後、選手たちはコート・ド・ラ・リュ・ナニオ(ナニオ通り坂)へと駆け上がる。600mの短い上りだけれど、平均勾配は10.5%。なによりオール石畳!

そのパヴェを大急ぎで駆け上がり、いち早くフィニッシュへ滑り込もう意気込むのは、ジルベール(2011年覇者)やダニエル・マーティン(2013年覇者)、サイモン・ゲランス(2014年覇者)といった、いわゆるクラシックスペシャリストだけではない。昨春フレーシュ2位→リエージュ2位で驚異的なデビューを飾り、今年改めてフレーシュ2位で確かな才能を証明した23歳ジュリアン・アラフィリップや、昨フレーシュ→今アムステル→今フレーシュと単独アタックに挑戦し続けるワロニーハーフ(父親がフランドル人、母親がワロニー人、ついでに恋人もワロニー人)の24歳ティム・ウェレンスだけが、なにも注目すべきライダーではないのだ。

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