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チャリンギは人生最後のジロで――6月の引退を宣言している――、チームに3年連続のジロ初日山岳ジャージをもたらそうと力を尽くした。ベルラートは、チームに初めての副賞ジャージを持ち帰ろうと、がむしゃらにペダルを回した。しかし2人に先んじて山岳ポイントをかすめ取ったのは、南アフリカチームのスペイン人、フライレだった。
楽しんで走っていたメイン集団だって、いつまでも楽しんでばかりはいられない。マリア・ローザ擁するジャイアント・アルペシンがきっちりタイム差を制御し――去年までキッテルが属していたチームだから、追走は得意分野だった――、ステージ後半へ向けて確実にスピードを上げていった。3人の山岳賞争いが無事に終了すると、スプリンターチームが次々と前線へ競り上がり、容赦なく逃げを飲み込みにかかった。「今日の最終目標は、もちろん、スプリントで区間勝利を手にすること」と、出走サイン台でキッテルが付け足したように、エティックス・クイックステップも作業に着手した。
市街地の周回コースに入った直後に、山岳賞フライレ、中間スプリント賞(+敢闘賞)チャリンギは静かに集団へと飲み込まれていった。ただベルラートだけが最後の力を振り絞り、単独で逃げ続けた。驚異的な粘りを見せ、「逃げ距離」を180kmまで伸ばし……、まんまとフーガ賞を手に入れた。こうしてエスケープ3人は、それぞれに成果を手に入れて、奮闘の1日を締めくくった。フィニッシュまで10km、集団はひとつになった。
先頭車両はめまぐるしく入れ替わった。0.01秒差の総合2位プリモシュ・ログリッチェにボーナスタイムのチャンスをもたらそうと、ロットNL・ユンボも黄色い隊列を走らせた。落車や分断の危険を避けるため、ヴィンチェンツォ・ニバリも前方に踏みとどまった。ゴール前1kmのアーチは、エティックス・クイックステップの4人が先頭で潜り抜けた。すぐにエフデジ列車が、前を奪い取った。
「チームは素晴らしい仕事をしてくれた。彼らの献身にはすごく感謝しているし、心から信頼することができた。だから今日は満足しているんだ。ただ、僕自身の動きが、まずかった」(アルノー・デマール、ゴール後テレビインタビューより)
発射台の背後でタイミングをうかがっていたデマールの、その背中に張り付いていたキッテルが、真っ先にスプリントを切った。フィニッシュまで200m。一瞬で全てを振り払うと、2位デマール以下をまったく寄せ付けないまま、両拳を天高く突き上げた。野獣のような雄たけびを上げながら、2014年ツール・ド・フランスのシャンゼリゼ勝利以来となる、グランツール通算12勝目を手にし入れた。
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