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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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圧倒的なスプリントの脚は健在だった。体調不良に苦しみ、昨季1年間まるまるグランツールから遠ざかっていたマルセル・キッテルが、再び勝利街道を突っ走り始めた。しかも自身初のマリア・ローザにさえ、わずか1秒差にまで近づいた。ばら色の1日を満喫したトム・デュムランは、少なくともあと1日、母国オランダを総合リーダージャージで走る権利を手に入れた。
まるでアルプ・デュエズのオランダコーナーが延々と190kmも続いているような、とてつもない人出だった。開催委員会の発表によると23万5000人ものファンが、レースをひとめ見ようとやってきた。もちろん、ここはアルプスではない。道は見渡す限り平坦だ。しかも、ほとんどの観客が「しらふ」で品行方正だったし、ディスコの大音量も響いてこなければ、関係車両にビールをぶっかけるようなエキセントリックな輩もいない。気温が29度まで上昇した土曜日の午後、アヒルや羊が餌を食む牧歌的な風景の中で、ピンク色のレースの通過を誰もが心から楽しんだ。
「今日の最初の目標は、レースをのんびりと楽しむこと」なんて出走サイン台でキッテルも笑っていたけれど、大急ぎで戦いへ飛び込んでいった選手もいた。6.7kmのパレード走行を終えて、大会委員長カーから出走フラッグが振り下ろされた瞬間に、3選手が前方へと勢い良く走り出した!
「3人がすぐに逃げ出してくれたおかげで、ボーナスタイムの心配もなくなった。だからチームにとってはイージーだったし、僕も心からステージを楽しむことができた。走っている間中、人々が名前を叫んでくれた。『トム、結婚してくれる?』なんていうボードさえ見かけたよ!あれはものすごく印象に残ってる。答えはノーだし、どんな人が言ってるのかも知りたくはないけど」(デュムラン、公式記者会見より)
今大会最初の逃げチャンスをつかんだのは、プロトン内でも指折りの逃げ巧者だった。オマール・フライレは昨ブエルタで大逃げの果てに山岳ジャージを勝ち取ったし、マーティン・チャリンギは2014年ジロの第1ステージで逃げて4日間山岳ジャージを着続けた。さらにジャコモ・ベルラートは、昨ジロで4回も逃げたという折り紙つき。当然3人の狙いは、今大会最初の山岳ポイントを先頭通過して、今大会最初の山岳ジャージを身にまとうこと。「中間スプリント賞」や「フーガ賞」という、小さいけれど嬉しいおまけだって、欲しかった。
勇んで飛び出した3選手は、ひたすら協力して道を急いだ。メインプロトンには最大10分ものリードを奪った。ゴール前35km、山岳に差し掛かる頃には、すでにタイム差は3分以下にまで縮まっていたけれど……。きっちり横一線に並んで山岳スプリントを争うだけの、十分な余裕は残っていた。
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