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「ここからレースは完全にコントロール不能となった」(デュムラン、公式記者会見)
早すぎる吸収は、しばしカウンターアタックを誘引するもの。ただステファノ・ピラッツィとダミアーノ・クネゴの加速に関しては、あくまで500m先の山岳ポイントを争うため。2004年ジロ総合覇者が、逃げそこねたチームの無念を晴らすかのように、2013年ジロ山岳賞をスプリントで指した。しかも1日の終わりには、自身にとって2004年第18ステージ以来12年ぶりの山岳ジャージ(当時は緑色だった)を手に入れた。
キッテルの集団復帰は、果たしてデュムランの計画通りだったのだろうか。上りは苦手でも、グルペッターというのは下りが得意なのだ。マリア・ローザの意地にかけて果敢なダウンヒルを試みたキッテルは、10kmほど下った先で、メイン集団に戻ってきた。
……こうしてプロトンが再び大きくなった、まさにそのタイミングだった。さらなるカオスの幕が開ける。アージェードゥゼール・ラ・モンディアルのギヨーム・ボナフォンとアクセル・ドモンが、息を合わせて飛び出した。すると2人に続けとばかり、不平分子が次々と反発を試みた。数人、また数人と小さい塊が前方へと分離していった。ラスト30kmで、塊は20人ほどにまで膨れ上がるも、どうやら選手たちには協力して先を急ごうという意識はなかった。抜け駆けと吸収が、呆れるほどに繰り返された。結局のところ、ヴァレリオ・コンティがたった1人で牽引の全責任を引き受けるその時まで、小さないざこざは終わらなかった。
ゴール前15km。11人にまで絞りこまれた前方集団で、コンティがウリッシを背負って加速を開始した。後方ではアレハンドル・バルベルデ擁するモビスターが6両列車を走らせ、その後ろでアスタナも7人の隊列を組み上げた。そしてキッテルが、またしても……千切れた。これが決定打だった。もはやキッテルは急ぎもしなかった。「明日のスプリントのために体力温存したんだ」とゴール後に語ったように、誕生日勝利に向けて気持ちを切り替えたからだ。
コンティの献身は5kmに渡って続いた。2014年ブエルタで「ゼッケン1」をつけ、今大会でもゼッケンの下ひと桁がエースナンバーの「1」――ただし2011年ジロ第3ステージ中に命を落としたワウテル・ウェイラントを悼んで、108番が永久欠番になった影響であり、ランプレのエースナンバーはウリッシの100――という23歳は、約1年前にはツアー・オブ・ジャパンの伊豆ステージを制した。この日は「開幕前からこの区間に狙いを定めていた」というウリッシのために、すさまじいまでに発射台役を務めた。
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