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一方のグライペルは、第2ステージ15位、第3ステージ4位と、どうもスプリント勝負に絡めずにきた。状況を打破するため、チームは積極策を取ることにした。「僕を常に前方から10番以内に留めおいておくこと」(グライペル、公式記者会見)、それが決め事だった。
フィニッシュまで60kmを切ると、いよいよロット・ソウダルが、本格的な追走を開始する。もちろん、あまりに早く吸収してしまわぬよう、じわり、じわりと差を詰めていく。4人を完全に飲み込んだのはゴール前6.5km、周回コース上の、1回目のフィニッシュライン通過直前だった。
フィニッシュまで続く道は上り基調で、加えて石畳。「こんなにキツイ地形だとは予想していなかった」(公式記者会見)とグライペルも驚いた約1kmの坂道で、プロトンは散り散りになった。デュムランと一緒にオランダステージを盛り上げ、やはりデュムラン同様にこの日は調子が最悪だったというキッテルは、この1回目の通過時点で、早くもメイン集団から脱落していた。28歳の誕生日当日に、スプリントを切ることすら叶わなかった。
「1回目の通過で、大丈夫、いける、と思った。予想外の地形だったけれど、自分の脚にまだ十分なパワーが残っていることを感じたから」(グライペル、公式記者会見)
しかもチームメイトは、ここでも驚異的な仕事をしてくれた。フランドルクラシックではリーダー役も務めるユルゲン・ルーランツが、最終周回のほぼ最初から最後まで、グライペルを背負って突っ走ったのだ!
「今日はチームすべての選手が、僕のために力を割いてくれた。なによりラスト5kmから1.5kmまで、ルーランツが先頭を引いてくれた。自分のやるべきこと以上の仕事をしてくれたんだ。あまりに一生懸命働いてくれたものだから、僕にはもう、勝利以外の選択肢は残っていなかったさ」(グライペル、公式記者会見)
ルーランツが脇に逸れた後は、周囲を封じ込められないようひたすら気をつけた。ランプレ・メリダが先頭を奪い去っても、エフデジが割り込んできても、カチューシャのレイン・タラマエがカーブで転んでも、グライペルは集中力を切らさなかった。
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