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47秒遅れのカンスタンティン・シウトソウもすぐに合流したおかげで、フグルサングは順調に「暫定」マリア・ローザの立場を手に入れた。アスタナはもちろん、モヴィスターやティンコフ、ロットNL・ユンボも代わる代わる集団前方でスピードアップを繰り返し、ジャイアントに揺さぶりをかけた。そしてゴール前4km。ニーバリ本人が、大きな一発を繰り出した。
2014年ツール・ド・フランスだったら、そのまま1.5km先を必死で逃げる選手を吸収して、区間勝利さえさらってしまったかもしれない。しかし2016年ジロのニーバリは、あっさりライバルたちに引きずり戻された。それどころか、吸収と同時に、デュムランにカウンターアタックを許してしまった!
「目標は単にジャージを守ることで、山で動こうとは考えてもいなかった。でも、本能にまかせて、アタックした。ニーバリの加速だって強烈だった。でもタイミングが良くなかった」(デュムラン、ゴール後TVインタビューより)
急勾配でアタックしたニーバリに対して、勾配が少し緩んだゾーンで、デュムランは加速した。マリア・ローザが選んだタイミングは、どうやら完璧だった。ドメニコ・ポッツォヴィーボとイヌール・ザッカリンという、総合上位を狙うヒルクライマーが一緒に付いてきたのも、先を急ぐには好都合だった。おかげでラスト1kmで、フグルサングとシウトソウの回収に成功した。
ただボーナスタイムのかかっった山頂スプリントだけは、ニーバリのために必死のフグルサングに奪い取られた。3位にはザッカリンが滑り込んだ。小さな分断があったとして、次点4位のデュムランは、2人から3秒遅れ(ウェレンスからは1分22秒遅れ)のタイムが記録された。
デュムランに置き去りにされた集団からは、フィニッシュ間際に、ラファル・マイカやエステバン・チャベス、リゴベルト・ウランが次々と加速を切った。バルベルデやミケル・ランダ、なによりニーバリはまたしても出遅れた。最終的にチャベスは7秒、ウランとマイカは11秒、バルベルデ14秒、ランダとニーバリは21秒を、マリア・ローザから新たに失った。
「自分でもびっくりしてる。この先、できるだけ長く、マリア・ローザを守っていく。『空白の1日』に襲われたら、全てを失ってしまうけど……。そんなことは去年のブエルタで学習済み。あの大会で、僕は総合リーダーとしての研修を済ませたんだ」(デュムラン、ゴール後TVインタビューより)
前夜の公式記者会見で「自分をびっくりさせたい」と語っていたデュムランは、2位以下との総合タイム差を20秒から26秒へと開いた。総合2位にはフグルサングがつけ、3位にザッカリン28秒差が続く。バルベルデは41秒差、ニーバリは47秒差に後退。事前に優勝本命に上げられていた選手の中では、ランダが1分08秒差で最も苦しんでいる。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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