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フィニッシュまで8km。残り1周回の鐘が鳴り響くのを聞きながら、多くの者がペダルを回す脚を緩めた。ただフィニッシュタイムではなく、フィニッシュライン通過の順位にこだわるスプリンターチームだけが、残された8周を全力で闘った。
サーキット突入してからは、ロット・ソウダルが決してコントロール権を手放さなかった。ポイント賞リーダーの赤いジャージを含む6人の赤ジャージが、ひたすら集団先頭で主導権を握り続けた。
ゴール前3.5kmまでは、ルーラーのティム・ウェレンスとラルスイティング・バクが交互に牽引。綺麗な一本の隊列に、横入りできるチームなど存在しなかった。2011年ブエルタから14グランツール大会連続で出場しているアダム・ハンセンも、いつものように、リレーを引き継いだ。タフガイの背後に滑り込もうと、イアムやロットNL、オリカが割り込みを仕掛けたが、ショーン・ドゥビーがパワフルに弾き飛ばした。
ラスト1.2kmではランプレが先頭を奪い取ったが、またしてもドゥビーがトップの座を取り戻した。フィニッシュ直前300mの直角カーブは、ユルゲン・ルーランツが先頭で突っ込んでいき……。
「僕らの計画は、チーム全員で前線に留まった状態で、最終週回に突入すること。チームメートにはとことん脱帽してる。幸いにも僕は、脚の調子が良くて、スプリントを打つことができた」(グライペル、公式記者会見)
最後の花道を完璧な形でお膳立てしてもらったグライペルの、その背中には、カレブ・ユワンがぴたりと張り付いていた。21歳の伸び盛りは、右直角カーブを抜けた後、極めて自然にグライペルの右後ろに控えた。目の前のベテランも、カーブの流れに合わせるように、右へ右へと寄せていった。……そのままユワンは、右側のフェンスと、左斜め前のグライペルに挟まれて身動きがとれなくなってしまう。ほんの少しブレーキをかけ、軌道を変え、左側から抜けだそうとした頃には、すでにグライペルが区間勝利を手中に収めていた!
今大会3勝目、ジロ通算6勝目、記念すべきグランツール20勝目(ツール10勝、ブエルタ4勝)が、「ロストックのゴリラ」にとって2016年ジロ最後の勝利となった。ちなみに過去4度イタリア一周に参加して、完走は2008年のみ。2010年、2015年、そして今年2016年は、志半ばで大会を離脱している。。
「残念ながら今夜限りでジロを離れる。赤ジャージを着たままジロを帰るのは、ファンのみなさんに申し訳ない。でも僕は機械ではない。シーズンはまだまだ長いし、この先果たすべき目標はたくさんある。次の目標はツールの区間勝利。それに向けて体を休めて、準備していかねばならない」(グライペル、ゴール後インタビュー」
第13ステージは、区間3位・ポイント賞2位のニッツォロが、赤いジャージを身にまとうことになる。しかし、キッテルが去り、グライペルも抜けた今ジロで、果たして残されたスプリントチャンスは誰がもぎ取るというのか?
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