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長い逃避行中にしばらく「暫定」マリア・ローザを楽しんだシウトソウと、トム・デュムランのために6日間マリア・ローザ護衛を務めてきたゲオルグ・プライドラーは、ヴァルパローラの山頂で回収した。ゴール前5kmの、最大勾配19%の「猫の壁」の先で、エスケープ最後の生き残りダルウィン・アタプマも捕らえた。クルイスウィックとチャベスは決して最後まで勢いを落とさず、フィニッシュまで猛進を続けた。そしてチャベスが区間を、クルイスウィックが区間2位で総合を、それぞれに持ち帰った――。
「総合争いに野心を抱いてジロに乗り込んできたけれど、でも、まさか、マリア・ローザを着ることができるなんて……。信じられないよ」(クルイスウィック、ゴール後インタビュー)
プロ生活7年目の28歳が、ステージレースで総合首位に立った経験は、2014年アークティック・レースのただ1度だけ(総合優勝)。また所属チームは、ラボバンク時代の2009年にデニス・メンチョフと共にジロ総合優勝を果たしているが、チーム体制が完全に変わり、ロットNL・ユンボという名称になってからは……正真正銘、初めてのグランツールリーダージャージである。
すでにブエルタで5日間マイヨ・ロホを着ているチャベスは、初めてのジロ区間優勝を笑顔で楽しんだ。特に2013年春のトロフェオ・ライグエリアで落車し、負傷した右腕を、天に突き上げて。
「腕をひどく怪我したせいで、医師からは『もう2度と自転車に乗ることはできないだろう』と宣告されていた。だからラインを通過しながら、右手を上げたんだよ!」(チャベス、大会公式会見)
2人がゴールした37秒後に、ニーバリはフィニッシュラインを越えた。2分29秒後にはザッカリンとマイカが、2分50秒後にはウランが帰ってきた。バルベルデとポッツォヴィーボは、3分遅れで長い1日を締めくくった。
総合首位は2日連続で入れ替わり、クルイスウィックが5位から首位へと駆け上がった。41秒後に2位ニーバリ、1分32秒後に3位チャベスが控える。4位バルベルデはすでに3分06秒もの大差をつけられ、ジロ初出場・初優勝の夢はほんの少し遠ざかった。もちろんたった1日で「無敵男」が3分失ったことを考えれば、他の選手が1日で3分失う可能性も排除してはならないのだ。
「バルベルデを引き離せたことには満足しているけど、チャベスとクルイスウィックのアタックにはついていけなかった。リズムの急激な変化に対応できなかったんだ。だからそのまま先に行かせて、自分は自分のリズムで走ろうと決めたんだ。決して集中を切らさなかったし、諦めなかった。でも、追いつくことはできなかった」(ニーバリ、ゴール後TVインタビュー)
また2日連続で逃げ集団に滑り込んだダミアーノ・クネゴが、改めてポイントを重ねて山岳ジャージをしっかり守った。同じく2日連続で前に飛び出したウリッシは、ポイント賞2位に浮上した。フーガ賞ダントツ首位だったジャコモ・ベルラートは、長いステージの終盤に、疲れによる意識障害を起こし救急車で搬送された。2012年ジロ覇者のライダー・ヘシェダルも、数日前から苦しんでいた咽頭炎と気管炎の悪化で、大好きなジロを立ち去った。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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