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サイクル ロードレース コラム 2016年5月25日

ジロ・デ・イタリア2016 第16ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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登りではあれほど激しくいがみ合った者たちが、下りでは一旦、休戦を決め込んだ。山頂を揃って越えた首位クルイスウィク、3位ニーバリ、4位バルベルデ、6位ザッカリンは、「後方の邪魔者からタイムを奪う」という共通の利益のために手を組んだ。先に逃げていた6人に合流すると、前方に残る唯一のアシスト、カンゲルトが仕事を引き受けた。マリア・ロッサ用の中間&ゴールポイント収集のために、ウリッシもスピードを緩めなかった。

なにより、ほんの5日前にマリア・ローザは失ったけれど、「マリア・ビアンカだけは絶対に守りたい」と力強く宣言していたユンゲルスが、猛烈なる牽引役を買って出た。26歳以上の強豪たちがチャベスやマイカを突き放したいように、23歳の若者は、新人賞2位のセバスティアン・エナオゴメス(新人賞11分34秒差)との差をできる限り広げたかったのだ。

はるか後方では、オリカ・グリーンエッジとティンコフ、キャノンデールが必死の追走を続けていた。しかし逃げ出した10選手との差は、じわじわと開いていくばかり。ゴール前20km、2級ファイ・デッラ・パガネッラの麓で、遅れは48秒にまで開いた。もうこれ以上、悠長に待っているわけには行かなかった。チャベス、マイカ、さらに総合11位ドメニコ・ポッツォヴィーボとウランは、アシストたちに別れを告げると、自らの脚でタイム差を縮めに行くことに決めた。

ファイ・デッラ・パガネッラの山道では、そこまで協力し合っていた前方の選手たちも、弱者を切り捨てる必要に迫られた。なにしろ後方のチャベスたちは、とんでもない勢いで差を詰めてくる。ゴール前16km、バルベルデが鋭い加速を打った。クルイシュウィクとザッカリン以外は、全員まとめて弾き飛ばされた。もちろん、ニーバリも含めて。

「今日は総合のタイム差を考える前に、なにより、区間勝利が欲しかった。チーム全体でひたすら区間勝利のために働いてきたから。だからチャベスには絶対に追いつかれたくなかった。それから、ステフェンとザッカリン、僕自身の3人になってからは、また再び協力して努力を続けた。とにかく、最後のギリギリまで、タイム差を開くために働いた」(バルベルデ、公式記者会見)

……そんな3人に置いていかれたニーバリは、しばらくするとチャベスやマイカに合流されてしまう。それどころか、パガネッラ山頂手前の、まるで壁のような勾配15%ゾーンで、逆に置き去りにされてしまった!

「なんだか自分ではないみたいだった。序盤は調子が良かったのに、それから、どうなってしまったのか分からない。上手く説明ができない。調子はいいと感じていたのに、他の選手たちのアタックに、なぜか反応できなかったんだ」(ニーバリ、ゴール後TVインタビュー)

不可解な苦しみに悩まされながら最終10kmを必死に追いかけたニーバリや、猛烈に追いかけてくるチャベスを尻目に、クルイシュウィクとバルベルデ、そしてザッカリンは力強くフィニッシュへ向けて突進した。「ハンガー」や「無敵男」はもちろん力を惜しまなかったが、最終盤は特に、「タタールスタンのコウノトリ」がとかく先頭を引っ張った。ラスト300mまであまりに夢中でペダルを回し続けたせいで、スプリントを打つ体力は残っておらず、ゴールラインでは他の2人から8秒も遅れてしまった。それでもザッカリンは、念願のトップ5返り咲きを果たした。またマリア・ローザは必死でスプリントを試みるも、結局は3ステージ連続で区間2位に甘んじた。フィニッシュラインを一等賞で駆け抜けたのは、至極当然ではあるが、現プロトン屈指の上りスプリント強者だった。ひときわ大きなガッツポーズを、天に突き上げながら。

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