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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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冷たい雨が降り続いた休養日の翌日、132kmという短距離コースで、極限まで加熱した戦いが繰り広げられた。最後に抜けだした勝ち組は3人。36歳アレハンドロ・バルベルデは初めてのジロ出場で初の区間勝利をさらい獲り、猛烈にペダルを回したイルヌール・ザッカリンは総合トップ5に滑り込んだ。なによりステフェン・クルイスウィクが、総合首位マリア・ローザに相応しい実力者であることを、改めて証明した。一方でヴィンチェンツォ・ニーバリは戦いを積極的にリードしながらも、最後に力尽きた。総合優勝の可能性も、ほぼ完全に失った。
「ドロミテを抜け出す最後のステージで、大乱闘が繰り広げられるに違いない」と、多くの選手たちは慄いた。「中でも大会前の大本命に上げられていた2人、ニーバリ(総合3位、2分51秒遅れ)とバルベルデ(総合4位、3分29秒遅れ)が、必ずや何か仕掛けてくる」と、メディアは煽り立てた。そして、予想は、的中する。なにしろ大会も3週目に入り、トリノ到着まであと6日。つまり、マリア・ローザや表彰台を巡る戦いは、実質5日しか残っていない。もはや1日たりとも無駄にはできないのだ。しかも総合争いの本命たちは、ステージの最終盤まで待たなかった。コースの真ん中に立ちはだかる、2級峠パッソ・デッラ・メンドーラの中腹で、文字通りの取っ組み合いを始めた。
モヴィスターは恐ろしいテンポを刻んだ。序盤の激しいアタック合戦を勝ち抜いて、ようやく抜け出していた9選手に、遠くへ逃げる余地を決して与えなかった。ゴール前75km、導火線に火をつけたのは、総合6位ザッカリンだった。そこから数限りない揺さぶりが繰り返された。アスタナは前方に山岳アシスト役タネル・カンゲルトを送り出すことに成功した。カチューシャとキャノンデールは、手を変え品を変え、リーダー本人を前方へ送り出そうと試みた。
総合争いに決して慣れていないロットNL・ユンボのアシストたちは、すぐにまとめて後方へと吹っ飛ばされた。すなわちマリア・ローザ自身が、ラスト75kmを、たった1人で対応する必要に迫られた。
「もしかしたら、僕は上手く制御しているように見えたかもしれない。でも、とにかく、とてつもない数のアタックだった」(クルイスウィク、公式記者会見)
カンゲルトとダビ・ロペスガルシア、ディエゴ・ウリッシ、セルゲイ・フィルサノフの飛び出しは、あっさりと見逃した。総合8位ボブ・ユンゲルスの強烈なアタックを、数回は引き止めたが、最後には目をつぶった。総合12位リゴベルト・ウランのアタックは許せなかったが、総合34位ジョセフ・ドンブロウスキーには好きに先へと行かせた。
「1人になってからは、ひたすら、警戒すべき相手だけに注意した。だからニーバリのアタックには、すばやく対応した」(クルイスウィク、公式記者会見)
ゴール前68km、つまり山頂の直前で、ニーバリが大きな一撃を振り下ろした。強烈で、しかも長い加速だった。クルイスウィクとバルベルデは引き剥がされぬよう後輪にしがみついた。一瞬反応が遅れたが、ザッカリンもほどなく追いついた。しかし、総合2位エステバン・チャベスと5位ラファル・マイカ、7位アンドレイ・アマドールは、流れに乗り遅れた。
「なかなか集団は割れなかったけれど、ついに最終盤で、差を作り出すことに成功した。クルイスウィクは一緒だったけど、チャベスは一緒ではなかった。そのまま僕らは前に突き進み、次の2級ファイ・デッラ・パガネッラの麓までまで協力し合った。みんな良く働いた」(バルベルデ、公式記者会見)
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