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2つ目の中間ポイントを終えると、フィニッシュまでは残り33.4km。逃げとのタイム差は1分15秒。この先は、この三者の所属チームを中心に、大集団スプリントへ向けてつつがなく進行していくかと思われた。すでにニッポ・ヴィーニファンティーニやイアムサイクリングも、本格的な隊列を組み始めていた。
ところが、中間スプリントの小さな混乱を利用した、賢い奴らがいた。ラルスイティング・バク、イグナタス・コノヴァロヴァス、マキシム・ベルコフの3人が、前方へ猛スピードで突っ走っていった!
やはり名うてのルーラーとして知られる新トリオは、しばらくして、前を行く3人と合流した。人数が倍増し、パワーも倍増した。6人は協力し合って、スプリントチームの必死の追い上げ激しく抵抗し続けた。とは言っても、区間2勝のキッテルも区間3勝アンドレ・グライペルもいなければ、エリア・ヴィヴィアーニもアルノー・デマールもいないプロトンは、吸収にひどくてこずった。ゴール前10kmで20秒差、5kmで12秒差、2kmで7秒差。そして、ようやく、ゴール前1.6kmで、プロトン・コッパット。集団はひとつになった。
……それも、ほんの一瞬に過ぎなかった。最後まで必死に耐えたバクが吸収されるかされないかのうちに、ポッツァートが鮮やかに飛び出した。とたんに、フィニッシュエリアでは、歓喜にも似た叫び声が上がった。かつてのミラノ〜サンレモ覇者は、すでに34歳になり、小さなプロコンチネンタルチームで走っていた。それでも「ピッポ」人気は相変わらず根強い。なにより、前日のヴィンチェンツォ・ニーバリの失速で落胆するイタリア国民に、華やかな希望を与えてくれるものだった。ラスト1kmのアーチを先頭で越え、得意のロングアタック態勢へと持ち込んだポッツァートに、ティフォージの「ダイ、ダイ」の声が飛んだ。
「本当はハウッスラーのために走っていたんだけれど、フラム・ルージュの直前で、右側から飛び出す可能性を見つけた。でもハウッスラーはまだ後ろにいたから、自分自身で前に行くことに決めた」(クルーゲ、公式記者会見)
しかし、後ろからイアムのジャージが1人するすると上がってくると、最終コーナーへと猛スピードで突っ込んだ。カーブを抜けた先で、長身で体格のいい男が、細くしなやかなふくらはぎを持つ男の望みを非情にも打ち砕いた。
「なによりカーブの後に、ポッツァートを捉えられるに違いないと考えたんだんだ。猛スピードでカーブをこなして、ポッツァートを追い越した。そしてゴール前50mで後ろを振り返ったときに、気がついた。自分がグランツールで初めての勝利をつかみかけてることに!」(クルーゲ、公式記者会見)
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