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サイクル ロードレース コラム 2016年5月28日

ジロ・デ・イタリア2016 第19ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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そんなニーバリも加速を切った。しかも山頂間際では、アスタナのアシスト、バーフティヤール・コージャタイエフが待っていた。逃げ集団に潜んでいたカザフの24歳が、最後の力を振り絞ってリーダーを牽引してくれた。おかげでニーバリ、チャべス、そしてクライスヴァイクの3人は、今ジロ最高峰を、バルベルデやその他ライバルに1分近い差をつけて折り返すことに成功する。

2744mの高みで国境を越え、コッレ・デッラニェッロがコル・アニェルと名前を変えた直後だった。マイヨ・ジョーヌが絶対王を誇る国で、マリア・ローザにとてつもない試練がふりかかる。

「ただステージを勝ちたい。そう強く思いながら走っていた。だって総合では随分と離されていたからね。でも、山頂間際で、クライスヴァイクの調子がそれほど良くなさそうに見えた。だから加速して、猛スピードでダウンヒルに突っ込んだ」(ニーバリ、公式記者会見)

読みは正しかった。山頂まで限界を出し切ったマリア・ローザは、霧の中をすり抜ける危険なダウンヒルの途中で、食糧補給をする必要に迫られた。集中力が途切れた一瞬だった。道路脇の雪壁に突っ込んでしまったのだ!

幸いにも雪の壁は柔らかく、大きな怪我もなくすぐに起き上がることができた。しかし自転車の調整にはひどく手間取った。ニュートラルサービスの力を借りてバイクに飛び乗るも、不具合にずっと悩まされ続けた。スペアバイクに交換することが出来たのは、坂道をすでに20kmほど降りた後だった。バルベルデ集団にもとっくに追い越されていた。そもそもマリア・ローザには、自らのバイクを差し出してくれるチームメートも、前を引いてくれるアシストもいなかった。1人ぼっちで、ひたすら、長い追走を行わねばならなかった。

この下りでは、前方を必死で追走中の総合5位ザッカリンも、落車の犠牲となった。道の外に投げ出され、硬い岩肌に落ちた衝撃で、左の鎖骨と肩甲骨を骨折。即時リタイアを余儀なくされた。またコージャタイエフとエドワルドマイカル・グロスも地面に転がり落ちたが、無事にステージを走り終えている。

さて、チャベス以外の全員を振り払ってしまったニーバリは、「作戦を急遽変更」する。ひとまずチャベスと協力し合って、タイム差を稼ぐことに決めた。また孤独なクライスヴァイクとは違い、それぞれにアシストが前方で待っていた。ゴール前45kmでは、ルーベン・プラサが合流した。レース先頭を余裕しゃくしゃくで走っていたスカルポーニは、単独で追いついてきたマキシム・モンフォールに喜んで先を譲ると、ゴール前33kmでほぼ完全に停止してニーバリを待った。こうしてリーダーを迎え入れたアシストの2人は、惜しみなく、交互に力を尽くした。

「スカルポーニは自らが区間勝利を狙いに行くことだって出来たはずなのに。チームカーからの指示を受け入れると、僕のために完璧な仕事をやってのけてくれた」(ニーバリ、公式記者会見)

上りで引き剥がされたバルベルデやマイカにだって、牽引役を務めるアシストが前にいた。アシストが力尽きた後も、バルベルデ&マイカ&ウランを含めた3人は、互いに力を合わせてフィニッシュを目指した。クライスヴァイクは途中でユンゲルス集団と合流を果たすも、マリア・ビアンカの側には、ずっと逃げていたカルロス・ベロナという山岳アシストがついていたのに、満身創痍のマリア・ローザを助けてくれる選手など現れなかった。

プラサとスカルポーニの助けを得たチャべスとニーバリは、ひたすら猛スピードで前進を続けた。逃げの生き残りを次々と吸収し、そして次々と捨てていった。最終峠リズールに入り、ゴールまで残す10kmに迫ると、ついに先頭のモンフォールにも追いついた。バルベルデ集団との差は約1分、マリア・ローザとの差は約2分半に開いていた。ニーバリにとっては、そろそろ、本来の目標である「ステージ勝利」に再び集中すべき時がやって来た。

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