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サイクル ロードレース コラム 2016年5月29日

ジロ・デ・イタリア2016 第20ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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「走っている最中は、決して、勝ったなどとは考えなかった。フィニッシュした後にようやく、初めて信じられたんだ。フィニッシュゾーンで、レーススピーカーがカウントダウンする声が聞こえてきた。それが何を意味するのかを理解した時に、喜びがじわじわと沸いてきた」(ニーバリ、公式記者会見)

チャべスは結局、ニーバリから1分36秒遅れでフィニッシュへたどり着いた。ニーバリに突き放された後も、バルベルデと共に必死で追走を続けた。後方からは同国人リゴベルト・ウランも、手助けに駆けつけてくれた。しかし、いつしか、2人のリズムについていけなくなった。他の総合ライダーたちにも、次々と追い抜かれた。最終的に一緒にラインを越えたのは、皮肉にもスカルポーニで……、肩を落とすマリア・ローザの隣で、水色のジャージは拳を天に突き上げた。総合では52秒差の2位に後退し、ピンク色のTシャツ姿で待ち構えていた両親や恋人の目の前で、ピンク色のシャツを脱ぐことになった。

昨日マリア・ローザを脱いだスティーヴン・クライスヴァイクは、表彰台からも陥落した。第19ステージの下りで雪壁に突っ込んだ際に、実は左第11肋骨を骨折していた。この3週間、上りで圧倒的な強さを見せてきたオランダ人が、この日、ニーバリの加速にはついていけなかった。さらに36歳ジロ初出場で初表彰台を目指す男の執念にも、かなわなかった。バルベルデから1分16秒失い、前日までの43秒リードを、33秒ビハインドへとひっくり返された。

2016年ジロ・デ・イタリアの波乱万丈だった総合争いは、ついに閉幕を迎えた。大会を通して8人がマリア・ローザを着たのも、最終4日間で総合首位が3回入れ替わったのも、99回の長い歴史を誇るジロで、わずか2回目の貴重な出来事だったそうだ。

「シンプルな戦いではなかった。前回ジロを勝った時は、個人タイムトライアルでジャージを取って、あとはタイム差を伸ばしていくだけでよかった。今回は複雑だったんだ。僅差のまま均衡が崩れず、対応すべきライバルがずっと多いままだったし、しかも僕自身が調子が上がらなくて。でも、グランツールというのは、いつだって最後の数日で決するものだからね」(ニーバリ、公式記者会見)

2010年にブエルタで初優勝を飾り、2013年にジロ、2014年にツールを勝ち取ったニーバリは、最終日トリノまでの道すがら何事も起こらなければ、自身4度目のグランツールタイトルを手に入れる。なにより、現役ではアルベルト・コンタドールと並んで2人しか存在しない3大ツール全制覇の、いよいよ2順目に突入した。また表彰台ハンターのバルベルデはツール1回(2015年3位)・ブエルタ6回(2009年総合優勝)に続いて、ついにジロでも総合3位の表彰台に上がる。そんなビッグネーム2人に挟まれて、チャべスは生まれて初めてのグランツール表彰台を射止めた。

生まれて初めてのグランツールを戦ってきた山本元喜も、完走までついにあと1日に迫った。フィニッシュラインを実際に越えるその瞬間まで「制限時間のことを考え続けた」というが、大きなグルペットで山頂にたどり着くと「ほっとしました」と笑顔を見せた。

最終日はトリノへの楽しいパレード走行と、そして大会最後の、華やかな大集団スプリントが期待される。天気予報は残念ながら……雷交じりの大雨だ。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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