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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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その背後に、小さく潜んでいたのが、HTC時代の元チームメート……というか長年の宿敵だったカヴェンディッシュであった。
「最高のタイミングで、グライペルの後輪に潜り込むことができた。彼は早く仕掛けるだろうと読んでいたからだ。予想と違ったのは、彼が思っていた以上に強かったこと。加速が1度では足りなかった。2度目の加速を切る必要があった」(カヴェンディッシュ、公式記者会見)
フィニッシュラインで2人はハンドルを投げあった。グライペルは手を上げ、自らの優位をアピールした。ほんの少しだけペダルを回していた時間が長く、つまり一瞬遅れてハンドルを押し出したマーク・カヴェンディッシュは、小さくガッツポーズを握った。
「普通は勝ったか負けたかわかるものなんだ。だからラインを横切った瞬間に、今日は自分が取った、という感触を抱いた」(カヴェンディッシュ、公式記者会見)
そこからの待ち時間は長かった。ゴールエリアではグライペルの名が勝者として連呼され、地元テレビ局はすぐにスローモーション映像を繰り返し検証した。公式な判定はフォトフィニッシュに委ねられた。ほんの数センチ、いや、数ミリの差で、カヴェンディッシュに軍配が上がった!
「今日以上の僅差で勝ったことも、負けたこともある。でも僕はスプリントでグライペルに勝ったわけじゃない。最後の一突きで、破ったんだ」(カヴェンディッシュ、公式記者会見)
一大会で区間6勝(2009年)さえ手にしたことのある「元」世界最速スプリンターにとっては、実に丸3年ぶりとなる、ツールでの複数勝利だった。しかも通算区間勝利数では、113年の長い歴史を誇るツール史上で、2位タイの座に収まった。つまりベルナール・イノーと肩を並べ、見上げるべき選手はもはや「史上最強の自転車選手」エディ・メルクスしかいなくなった。
「自転車を始めたころ、イノーやメルクスと比較されるような選手になれるなんて、夢に見たことさえなかった。僕自身は名前だけじゃなく、数字自体にも衝撃を覚えている。だって28勝って、すごい数字だよね。もしもこのまま勝ち続けて、50勝できたら、とてつもなく素晴らしいことだろう。でも、もしも今日の勝利が、僕にとって最後のツール区間勝利になったとしても……、すでにとてつもなく素晴らしいことなんだ」(カヴェンディッシュ、公式記者会見)
223.5kmもの長距離ステージは、6時間でようやく幕を閉じた。つまりペーター・サガンは、たっぷりとマイヨ・ジョーヌ初日を満喫することができた。もちろん区間4位と、あいかわらずの高め安定を発揮して、問題なく黄色の日々を延長した。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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